セシル×ジタン
いつもいつも、誰かを守ろうと必死な君だから。
たまにくらい、君を守ろうと必死になったっていいはずじゃないかと。
そうして庇って敵を撃退したのはつい先ほどのこと。
にこり、笑って振り返ってみれば、そんな彼が目を丸くしていた。ぽかんと。
それは彼がいつも守っては見せる、勇敢で危ういそれとはほど遠いものだった。
「怪我はなかったかい?」
「へ?ああ、ないけど。ないけどさ、」
ああ、そんな困った顔をさせている。
守られることに慣れていない、守ることばかり考える彼だから。
「どうして庇ったんだ?」
そのぎこちなさがどこか心地よくて、つい笑みを深めていた。
そんな彼だから守ってやりたい。
そんなことさえ許してくれないだろうから、そう、たまにくらい。
「ジタンにはいつも助けてもらっているからね、そのお礼かな。」
そう、たまにくらい、そんな。
「理由なんて、それだけで充分だと思わないかい?」
そんな困った顔して、不器用でも頼って、甘えて。
それでいい。たまにはそれでいいじゃないか。
すると彼はそんな困った顔して、笑ってのけた。
眩しくて、守りたいと思うそれだった。
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