バッツ×セシル

羽交い締めにされるようにバッツに背後から抱き締められた。
バッツの腕には目一杯力が込められていて、簡単には逃げられそうにない。セシルが抵抗することなくそのままになっていると、バッツが耳元で小さな声を出した。

「おれは、なににも縛られたくない」
「うん、知ってる」

セシルは頷く。バッツは間を取るためにだろうか、息を吐いた。

「でも、セシルをおれに縛っておきたいって思う。これってワガママ?」

押し付けはフェアじゃないと思っているバッツらしい質問だ。縛られていろ、ではなく縛っておけるならそうしたいと思うんだがセシルはバッツがそう思うことに対してどうかと聞いているわけだ。
セシルの答えは決まっている。

「僕は自由なバッツが好きだから、そのままでいて欲しいな」

柔らかくセシルが伝えると、バッツは、うん、と頷いた。



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