ティーダ×セシル


泣きそうな顔をしている。ティーダにも分かるくらいに、セシルは思い詰めた表情をしていた。
セシルは人前では泣かない。
だからティーダは、彼の慰め方を知らない。泣かないでくれたらいいと自分勝手なことを思った。

「ティーダ、泣きそうだけど、どうしたの」

波のない海みたいに落ち着いたセシルの声がする。
セシルはずるい。
涙を流したいのはセシルのはずなのに、ティーダにそれを押し付けようとしている。心配する振りをして、セシルの中にある後ろ向きな気持ちをなかったことにしようとしている。
そんなのは、あとでまた苦しくなるに決まっているのに。

「泣きたいのはオレじゃなくてセシルだろ!」

ティーダが叫ぶと、セシルは我慢するみたいに唇を噛んだ。
ティーダからは、彼の瞳の揺らめきが、はっきりと見えた。




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