クジャ×ユウナ
2012/12/15 00:00

最初は遠慮がちであったユウナの指も、クジャが穏やかに微笑んだままであれば大胆になっていく。
ユウナが夢中になっているのはクジャの髪。机を挟んで向かい合う状態で、ユウナは飽きもせずに指で梳いている。
冷たくて柔らかくてたっぷりとしていてきらきらと綺麗。長くしていないユウナには触り応えのあるクジャの髪だ。
入学式の時から憧れていて、最近になってようやく仲良くなって、何時言い出そうともじもじしているうちに、妖艶な笑みで誘われた。
さわりたいの?
いけないことをするわけではないのだけれど、その中性的な色気は、十七になったばかりのユウナにはキツすぎた。はきはきした態度を忘れて狼狽えながら、慌てて頷いた。
そんな反応もお見通しとばかりに、クジャは余裕の表情でユウナの手を取って自分の髪に導いた。
初めはどきどきしていたユウナだったが、やがて夢中になってしまう。素敵な手触り。上等の正絹。

「たのしい?」
「え、あ、はい……うん!」

クジャの備えている貫禄に、ついつい敬語が出てしまうが、首を傾げられて返事をし直す。それを良い子、というように微笑むのだからやはり、年上のように感じてしまう。
夢中になっていたことも含めてやや気恥ずかしく、ユウナは指を引っ込めた。
もういいの?と問う長い睫毛にまた沈んでいたどきどきを擽られてしまった気がする。
今度はクジャの手がユウナに伸びた。先ほど掴まれた時に、意外な男らしさに驚いた手。どこもかしこも繊細な造りでありながら、触れられたその固さは男の、クジャの手。
それがさらりとユウナの髪を揺らす。

「君の髪も綺麗だよ」

熱くなる頬がなだめられない。

「ちょおおお!クジャ、セクハラ!」
「あんたが触るのは、無し、だな」

見守っていたティーダとスコールが突っ込んでくれなければ、知らなかったことを、知ってしまっていただろう。
クジャの手は離れて、ユウナは代わりに自分の手で髪を触る。
真っ直ぐで冷たいそれは、クジャのそれには似ていない。




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