ケフカ×エクスデス
2012/12/11 00:00
正面の壁から床は、窓を避けて黒。右の壁は夕焼けの赤と紫雲。左の壁は雪の白と黒い銀河。天井は快晴と太陽。ああ、変わり果てた姿の美術室よ。
エクスデスは信じられない気持ちで、黒の上に立つ道化た化粧の生徒を見た。
彼、ケフカ・パラッツォは、底の知れない笑みを浮かべて、太い絵筆を左手で弄んでいる。
目眩のしそうな景色だ。窓から入る光が、ケフカの後光となっている。
「どーぉでっす?芸術的でしょう?」
「貴様……」
得意なケフカに、エクスデスは脱力するしかない。この後始末、ほんとに自分が片付けなければならないのか。
エクスデスの気持ちを露とも知らず、ケフカはでも!と力んだ。
「まだ一つ、足りてないんですよねぇ」
言いながら鳴らされる彼の細い右手の指。がちゃりとかかるのはエクスデスの背後の扉の鍵だ。
不穏な気配にエクスデスが後ずさる。
しかしケフカはその分、爛々とした目玉で迫る。
「お前だエクスデス!」
「む!?」
飛んできたものをなんとか避ける。それは、錘の付いた鎖だった。ぞっとする。
ケフカが舌なめずりをした。
「お前をあの椅子に縛り付けて、中央に置かないと!この部屋は!この芸術は!完成しないんですよぉ!」
鎖を手に叫ぶケフカは完全にいってしまっている。
生徒の健やかなクラブ活動には賛成のエクスデスだが、これは健やかではない。美術部の顧問は誰だ。何を教えた。
芸術は束縛だ!と叫ぶ鎖が閃いて、エクスデスは逃げ場を失った。
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