カオス×WOL
2012/09/17 16:52



title:その存在が、既に残酷



その姿で、光を語るか。

その姿で、未来を語るか。

その姿で、私を討つか。



滑稽な!腹立たしい!憎たらしい!



殺してやる!殺しても足りぬ!



憎い!お前が憎い!私から全てを奪ったお前が憎い!



償いは何の意味も持たない!罪を永遠に背負って生き、罰を粛々と受け入れ苦しむが良い!



カオスは地が鳴る程の慟哭と共に、真っ直ぐに光の戦士へと襲い掛かり、その首を腕一本で締め上げ、身体を高々と持ち上げる。



「ぐぁ…っ!」

「ウォー……リ、ア!」

秩序の駒の一つが潰れた喉で呼ぶが、光の戦士には届いていないだろう。

「か…は……」

みし、と首が軋む音がした。眼を見開き、逃れようともがくが、逃られる事はなく。

「…あ…ぐ……」

掠れる声。白い顔は段々と赤く変わる。



後少し、そう感じた。



その時、



「何、故…泣い、て…い、る…」



光の戦士の問い掛けに、カオスは眼を見開く。



そして、自分の頬に伝っている水の存在に、初めて気が付いた。



―――まだ、こんな感情が残っていたのか?


アレに対して―――!



首を絞めていた手が緩み、光の戦士は地面へと落ちた。光の戦士は首を擦りながら困惑の表情をカオスに向けている。



だが、そんな事はどうでも良かった。



嗚呼、嗚呼、ああ、ああ、ああ―――!



「ああああああああああああああっ!」



カオスは頭を抱えて絶叫し、その場から飛び去った。



脳裏を過ぎる、幸せだった頃の記憶を、振り払う様に。



(子は父には逆らえないものだ)





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