ライトニング×WOL
2012/09/16 22:54
title:ある真夜中、二つの光の会話 〜一部抜粋〜
「君は好きだが、この胸の“刺青”は好きになれないな。ライトニング」
「………」
「強い力を感じる。だが、何処か…違和感があるのだ」
「判るのか?ウォーリア…」
「はっきりとは判らない。君自身もこの“刺青”に関しては何も覚えていないんだろう?」
「ああ。元の世界に、何か『大切なもの』があるのは…うっすらとだが覚えているんだが……」
「単なる“刺青”ではない筈だ。……でなければこの力の意味が理解出来ない」
「っ……こら、触るな。…くすぐったいだろう」
「力は君へと作用していると見たが、この違和感は…?」
「…っ、なぞるな」
「…………」
「ウォーリアッ!」
「これを初めて見た時、無理矢理取ってしまえればと思った」
「どうして」
「この“刺青”から感じた印象が…束縛だった」
「束縛…」
「そうだ。……私としては、君を束縛出来るのは私だけで良いと考えていたから」
「……お前、見た目と性格の割りにそう言う所があるんだな」
「恋人を独占したいと言う気持ちは多かれ少なかれ誰にでもあるものだと言ったのは君だろう?」
「……………」
「だから、これを取り除きたかった」
「普通そう言う嫉妬は、第三者にするものだ。まさか、この“刺青”に嫉妬するなんて…まぁ、お前らしいと言ったらそうかもしれないが」
「……直ぐ消えるかもしれないが、私も『痕』を付けても良いか?」
「……………見える場所に付けるなよ」
「判っている。……先ずは鎖骨」
「ん……」
「私は記憶の保有量が誰よりも少ない。戦っても、皆の様に記憶を取り戻す事もない…次は胸」
「っ…」
「これからも戻らないかもしれないし、戻る記憶がないのかもしれない…次は腹」
「は…」
「この戦いの記憶もまた、全て消えるだろう…消滅は恐らく私も避けられないと覚悟している…太腿の付け根」
「……っ、そんな場所にまで残すな」
「見えなければ良いのだろう?…だから一つだけ約束をして欲しい。道を別ちた後も、君を束縛していられる約束を…次は臀部」
「全く…っ」
「消滅した先に何があっても…どうか君は私の愛した君のままでいて欲しい…次は腰」
「それは…私がお前を忘れて……お前が私を忘れてもか?」
「勿論…次は肩甲骨」
「痛…それは…その約束を忘れてもか?」
「勿論…次は肩」
「……自分、勝手だな」
「今更だろう、それは」
「そんなお前に惹かれた」
「そんな君に焦がれた」
「…好きだ」
「愛している」
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