フリオニール×セシル





瞼を閉じて横になっているセシルを偶然見つけ、フリオニールは彼を起こさないようにそっとそちらへ近づいた。
物音を立てないようにといっても、多くの武器を持つフリオニールでは完全にそうすることは難しい。少し音を立ててしまったが、どうやらセシルを起こさずには済んだようだ。
そばに腰をおろして、セシルを眺める。
こんなに無防備になっているセシルを見るのは初めてかもしれない。
細い眉、姿を隠してしまっている瞳、すっと通った鼻。
呼吸の為に薄く開いているくちびるに目が止まって、フリオニールはどきりとした。
白過ぎて不健康に見える時もある肌は、けれど今はとても魅力的にフリオニールには映る。
一般的に健全な思考ではあったが、いやらしい方向へ考えそうになった自分に気付いたフリオニールは自分の頭を叩いた。何を考えているんだ、全く。
誰にともなく誤魔化すように首の辺りをぽりぽりとかく。
すると、セシルがゆっくりと目を開いて体を起こした。

「なっ、何もしてないぞ!」

本当に何もしていないのに、焦りで言い訳めいた言葉が出た。
セシルは「知ってる」と何度か瞬きをする。それからフリオニールを見つめて、笑みをのぞかせて、言った。

「口付けの一つや二つ、してくれてもよかったのに」





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