セシル×ゴルベーザ



僕と兄さんの今の距離は、人が一人分開いている。秩序の聖域に近い森の切り株の上で、並んで座っている。
この隙間を誰かに……例えばティーダやバッツに発見されたら自分の席だと言って座ってしまうだろう。ジタンやオニオンだったら、言葉巧みに詰めるように、くっつくように誘導してくれるはずだ。
だからこの隙間は、僕と兄さんが二人きりである証拠でもあるんだ。臆病な兄弟の距離は、人一人分。お互いもっと傍に寄り添うには、足りない。
でもそれが、実はとても嬉しくて、愛しいことだと、兄さんは知っているのだろうか。この距離は可能性だと、僕は勝手に信じている。図太いでしょう。お陰様です。
僕は、この距離ごとあなたを抱きしめている、心地。





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テーマ「推しとの恋」
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