「…あれ?」
世はどこもかしこもクリスマス一色。
けど特に二人で過ごすような特別な人もいない。
仕事仲間で大勢集まってナルトの家に押し掛けてどんちゃん騒ぎした覚えはあるのに、いつの間にこんな状態になったのかは全く覚えていなかった。
悪酔いするにも程がある、と、ふう、と大きく溜め息を吐く。
二日酔いのせいか、ずきずき痛む頭に思わず眉を寄せる。
そしてわたしの視線の直ぐ先にはカカシさんの寝顔があった。
「な、んでこんなことに?」
何故かわたしを強く抱きしめるカカシさんの腕をどうにか振り払おうとしてみるけど、困ったことになかなか離してはくれない。
わたしの視界は完全にカカシさんだけしか見えず、周りの状況は分からないとは言え、ナルトたちの寝息がカカシさんの背後から定期的に聞こえてくる。
仕方がなく抜け出すのを諦めて、カカシさんに身を預ける。
それにしても、近いなあ。
いつもはこんなに近くで見ることもないし、どちらかと言えば近くに寄ろうとも思わないけど。
だって、先輩だし、失礼なこと何て出来る訳がなかった。
会っても任務絡みだけだし、今日の飲み会もナルトが主催だから偶々プライベートで会っただけだった。
じっくり見ていれば、整った顔立ちに少し、いやかなりの、嫉妬を覚える。
男のくせに何て綺麗な顔してんだ、この人は。
口布で表情が殆ど見えなくても、何となく分かる輪郭と顔の作り。
何かに吸い寄せられたように、カカシさんの頬に指を這わせる。
カカシさんの寝息がわたしの前髪を僅かに揺らす。
は、と気が付けば自分が意味なくしたことに、堪らなく恥ずかしくなって、再びカカシさんの腕から抜け出そうと試みる。
「カカシさん、起きて下さい」
ナルトたちを起こさないように小声で必死に訴える。
こんなところを見られて面倒なことになるのは目に見えている。
「カカシさーん?」
一向に目を覚ます様子はない。
ああ、もう。
早くしないといつナルトが起きて来てもおかしくない。
「おはよ」
「…え」
カカシさんの目がゆっくり開いて、この状況に驚いて飛び起きると思いきや、目尻を優しく下げて小さく微笑う。
「まさか…!」
「ん、なあに?」
惚けた振りして意地悪そうにくすくす笑って、わたしの髪をさらりと撫でる。
「起きてたんですか!?」
「何のこと?」
頬の熱が一気に上昇していく。
本当にこの人って何を考えてるのか分からない。
振り回されて掻き乱されて、どうしたらいいのか分からない。
「もっと触っていいよ、」
「何言って…!」
「ああ、それとも、」
キスしてみる?(ななな、何で…!)
(言っとくけど、好きでもない人とはしないからね)
(え?)
(はは、鈍すぎ)
happy X'mas!
101225.