いつの間にか、肌寒くなってきた季節。
夕日が沈むのが早くなったのも冬が近い証拠。
クリーニングに出して眠っていた制服も、今となっては必要不可欠な存在となっていた。
それを自己流に着こなすのは俺流のセンス。
周りと一緒はツマラナイ。
先生たちに文句を言われようが、何と言われようが直す気は更々ない。
別に不良な訳ではないし、学校が嫌いな訳でもないが、勉強が苦手なだけ。
それに派手に色々とぶちかますせいで、学校ではある意味で有名になっていた。
それでも常に一緒にいるメンバーは決まっていて、勿論その一人にあいつもいた。
女らしさの欠片もない、サバサバした性格のあいつは最高の友達だった。


「あんた授業サボんの?」
「うっわ、お前、俺を連れ戻しに来たのかよ」
「いいや?わたしもサボり」


昼休みの終了と共に授業の始まりを告げる予鈴が校内に響き渡る。
屋上は俺の特等席。どこまでも続く青空と温かい太陽が光る今日は、絶好の昼寝日和だ。
寝転ぶ俺の顔を覗き込んで、にっと八重歯を出して悪戯に笑って見下ろしていたかと思えば、隣に同じように寝転ぶこいつに、ああ、そう何て呆れたように声を漏らす。


「んー、やっぱここ気持ちいいね」
「俺が見つけたんだから当たり前だろ」
「るさいなー、そんなん関係ない」


女のくせに相変わらず口が悪いな、とぼそと呟けば、俺の脇腹に力の入った拳が不意打ちにぶつかってきた。
う、と唸れば、腹を抱えてけらけらと笑う。


「っ…いてえなあ、何すんだってばよ」
「男のくせによわいね、ナルトくん?」


こいつたまに上から目線なんだよな。
俺が女には手を上げないと知っていて、敢えて手を上げさせようと仕向けてくる。
本気で殴る訳はないけれど、殴る振りをしようと上に覆い被さる。


「わっ、」
「誰が弱いって?」


両腕を握り締めて、床に押し付けて動かないように固定する。
上から見下ろすこいつは、驚いて目を見開き、また怒り出すだろうと思って自信を持って笑いかけたのに、予想とは正反対だった。


「いた…何、すんの」
「、ごめん」


頬を真っ赤に紅潮させて視線を逸らす仕草に、ふざけたつもりの俺の方が恥ずかしくなってつられて頬が赤くなってしまう。
握っていた力を緩めて、彼女を解放する。

何だ?何なんだってばよ、この雰囲気は。
ちょっと待て、何でつられて俺まで赤くなんだよ。
後ろを振り向いて髪をぐしゃぐしゃと触る。
この沈黙は非常に痛い。
何か話さなくては、と考えるシワの少ない脳内は、どう見たって弾ける寸前だ。


「何か喋ってよ」


バシッ、と後ろから頭を叩かれ、振り向けばいつもの強気な態度したヒロインがいて。


「いてえっ!お前すぐ殴るの止めろよ」
「あんたが…っ、」
「俺が何だってばよ?」
「何でもない」


言葉を濁したかと思えば、そっぽを向いてしまう。
何だよ、と言って追求しようと前へ回り込もうとすれば、案の定驚く程綺麗にまた殴られた。

良く分かんないってばよ、女何て。

…ああ、そうか。
俺はこいつを女だと思ってるんだ。




あおいごころ



101128.
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