デジモンに、デジモンワールドというゲームがある。それは今から十年以上も前に発売された育成RPGゲームだった。デジモンを育てて、街を発展させるのが目的のゲームだ。不思議なことに、どんな不気味なデジモンも、育てていくうちに愛着が沸く、今でも名作としての名が高いゲームだった。デジモンワールド――デジワーの続編として発売されたゲームは、ゲームシステムが根本的に異なるのでファンからの評判は良くなかった。そのデジワーシリーズに、漸く初代の流れを汲むゲームが発売された。 それが、デジモンワールド リ:デジタイズだった。
 私はデジワー初代をプレイしたときからのデジモンファンで、私には現実世界にパートナーもいた。デジワー初代でやたら肉を消費することで悪名高かった、ティラノモン。そのティラノモンが、私の横でひたすら愚痴をこぼしていた。

「俺がいないのはおかしい! バンダイに訴えてやる!!」
「そうだね、私もクネモンとか育てたかったわあ〜」

 ver.1成熟期デジモンで唯一、ティラノモンは育成不可だった。しかしその割にはティラノモンの必殺技であるファイヤーブレスはスキルとして使えるのである。ティラノモンが愚痴るのは無理ないことであったが、私はそんなことよりお腹空いたなあと思っていた。

「クネモンより俺だろ常識的に考えて! 大体なんだよブルーメラモンとか! 究極体ないしメラモンから進化したらすごい腹立つし!」
「いや、ブルーメラモンは気の毒だから何も言わないであげて」
「俺のほうが可哀想だろお!」
「でもVer.1ではマメモンとベタモンもハブだよね」
「そいつらは需要ないからいいだろ! ちくしょうハブモンめ!」
「失礼すぎるでしょてかハブモンも関係ない! でもティラノモンが出たら肉消費しすぎで他のプレイヤーは困るんじゃないかなあ」

 いくら与えても与えても肉を欲するのがティラノモンだった。現に私は、ゲーム内でも現実でもティラノモンの食費に困り果てていた。

「んなことねーよ! お前だってゲームで俺育てられて嬉しかっただろ!! な!」
「それよりティラノモンがマメモンとジョグレスしてくれたら食費が助かるよね」
「小さくなるのとかダサすぎるわ!」
「ティラノモンさっきから失礼なことばっかり言ってるなあ」

 私はティラノモンの話を適当にあしらいながらPSPの電源を入れた。ゲームの中では、愛しのベルゼブモンが私を待っているのだ。

「浮気かよコノヤロウ!」
「いや、意味が分からない!」

 だんだん相手にするのがめんどくさくなって、私はティラノモンの口に無理やり肉を放り込んだ。



120803
ティラノモンがまじ気の毒すぎるので。ティラノモンかわいいよ…。落ちはない!
なんとなく書いたけどこれ夢小説とは呼べない……。

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