風はわたしに囁いて
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 渦は完全に消えた。
 ゴマ島に上陸したら、みんなゴマモンたちは仲間に会えた歓びに浸っているようだった。


「あの渦は、ケルビモンの魔力の影響で風のビーストスピリットが海底に封じられたときに発生したんじゃ」
「でも、どうやってビーストスピリットをコントロールしたんだ?」


 確かに。でも元々獣! って感じのデジモンじゃなかったから、カンタンに制御できたのかな?
 友樹くんは、やっぱり気合い!? と尋ねる。


「それもあるかなあ。でも、それは女の子の、ヒ・ミ・ツ?」


 えっ。泉ちゃんどうしちゃったの! わたしみたいに具合悪くなっちゃったのかな。言ったら怒られそうだけど……。

 ゴマモンたちが数匹近づいてくる。よかったね、ゴマモン。


「ありがとうゴマ、あなたたちのおかげで助かったゴマ!」
「例なら泉に言えよ!」
「俺たちは、何もやってない……うわあっ」


 今日の泉ちゃん、本当にかっこ良かったよ――って何抱きついてるの泉ちゃん!!
 輝二くんも拓也くんも顔真っ赤だし、さあ。


「や、やめろよ……」


 あ、ちょっとこの輝二くんかわいいかもしれない!
 でもうらやましいっ。純平さんも友樹くんも同じ気持ちだったみたいで、泉ちゃんにぎゅう、ってしてもらってる。だから皆ずるいよう、わたしだって!


「泉ちゃん! 抱いて!」
「想、その言い方はマズい!」
「え、何が?」


 マズい、ってどういうことだろう。輝二くんはどこか焦り顔でそんなこと言ったけど、よく分かんなかった。
 泉ちゃんはわたしの前に来ると、わたしを見つめながら言った。


「想。助けてくれようとして、ありがとう」
「で、でもそのせいでわたしたち海にどぼんしちゃったよ?」
「けどそのおかげであたしのビーストスピリット見つかったでしょ?」


 確かに、そうだけど。
 それにありがとう、って言うなら、わたしの方こそ言わなきゃいけないんだ。


「泉ちゃん! ありがとうなんてわたしも、だよ! 泉ちゃんはわたしを海の底で見つけて、救ってくれたもん」
「そんな……、大したことなんかしてないわよ」


 自分も危険な目に合うのを承知で、泉ちゃんはわたしを助けてくれた。シューツモンになって、わたしや皆を守ってくれた。
 わたしは、泉ちゃんが大好きだ、って思った。い、いやもちろん友達としてだけども……。


「い、泉ちゃん……!」
「わ、想っ!」


 わたしは、泉ちゃんに飛びついた。
 泉ちゃんはびっくりしていたけど、わたしの背中をよしよし、と撫でてくれた。泉ちゃんの身体があったかくて、わたしは泣きそうなくらい安心した。


「ようし、アキバマーケットに行くぞ!」


 拓也くんが先導する。わたしは、泉ちゃんと手をつないで歩いていた。

 自分の危険を省みずわたしを助けてくれた、泉ちゃん。もう一度友達を、自分を、信じていいんだ、と思った。
 望ちゃん。わたし、貴方に会ったら謝らなくちゃいけない。
 けれど、こんな風に変わったわたしを見てほしい。――なんて、自己中心的なことをふと考えてしまった。








110921
泉ちゃんとの友情を書いてみたかった……
のだけども、なんか感情描写とかヘタクソすぎてアレですね。。。
※泉ちゃんが夢主抱きかかえたまま進化!とか体勢的にキツそうですがつっこんではいけません。

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