綿津見も知らない
[4/5] 男の子たちはデジヴァイスを完全にトーカンモンに盗まれてしまったらしくて、戦えるのは泉ちゃんのみだった。 わたしもデジヴァイスをうばおうとハクジャモンに近づいたけど、するりと避けられてしまう。 「皆、ここはあたしに任せて。……今まで進化できなかった分、思いっきりやらせてもらうわ!」 「泉ちゃん!」 「わぁ、かっこいー」 泉ちゃん、漢前すぎる! 何もできないわたしがみじめになってしまったけど、わたしはドキドキしながら泉ちゃんを見つめた。泉ちゃんはデジヴァイスを手にかざし、進化する。 「フェアリモン!」 久しぶりに見れた、フェアリモンの姿。 フェアリモンは、「あんたたちなんか、あたし一人で十分よ!」と言う。 「なんかナマイキ!」 「生意気なのはそっちでしょう!」 まずは。ラーナモンにパンチをしようとした、けども、海上から水の竜巻が巻き起こりそれはできなくて――。ラーナモンは、水の竜巻を自在にあやつり、ラーナモンに向かっていく。 「ブレッザ・ペタロ!」 フェアリモンは、手から風の竜巻を発生させる。それにより、水の竜巻は消えてしまう。さっすが! 「なかなかやるじゃない」 「あんたなんかに褒められても、嬉しくないけどね!」 「……ほんっと、ナマイキ!」 だったらこれでどう!? ラーナモンは、今度は一度に沢山の水柱を出した。フェアリモンはそれに完全に囲まれてしまう――た、大変だ! 砂浜にいるハクジャモンは何もせずにその様子を伺っているだけだった。でも、わたしが自分のデジヴァイスを取り返そうとしても、避けるのが異常にうまくてそれは出来ない。 フェアリモンが追い詰められていたかと思えば、あっという間に水柱は海に隠れてしまい、ラーナモンも海の中に飛び込む。 「何、どうしたの!?」 「ビーストスピリット」 「え!?」 フェアリモンの問いに、ハクジャモンが呟いた。どんなコワいヤツが現れるんだろう――わたしたちは、身構える。 それからすぐに、甲高い、少し下品な笑い声と共に、ラーナモンのビーストスピリットを得た姿が現れる。 「ついにアタシのビーストスピリットを手に入れたわよ!! ……見なさい、アタシの美しい姿を」 ……。 う、うん。どうしようなんてコメントしたらいいんだろう。 そこには、イカのケバいデジモンがいた。――ハクジャモンとかにやにや笑いこらえてるんだけど明らかに! いいのこれ!! ラーナモンはカルマーラモン、になったようだった。うわあ、グロいよ……。 「これでアタシは無敵よ、女王様とお呼び!」 カルマーラモンは触手を使って、砂浜に上陸してくる。カルマーラモン、ハクジャモン。今ここにはビーストデジモンが二体いる、ってことなんだ――気を付けなくちゃ!! 「か、かっこわりー……」 「うぐっ……気持ち悪くなってきた……」 「やめて、想さん耐えて! で、でもボクも気持ち悪い……」 「しかも性格悪……」 「ぷ。よ、よかったね、水、ビーストスピリット、有って、ぶ、ぶふっ……」 ハクジャモンまだ笑いこらえてる! 一応カルマーラモンの味方のくせに! 気持ち悪い、と言ったわたしの背中を、友樹くんがさすってくれた。 「なんですって!? アタシの悪口を言うヤツは許さない!!」 「ふ、ぶぷ。相手は、こ、子供なんだから……ぶふっ」 カルマーラモンがこっちに襲ってきて、わたしたちは逃げた。ハクジャモンだけは、笑いを必死にこらえながらカルマーラモンをばしばし叩く。君ら味方なのにいいのかホントに! NOVEL TOP ×
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