いろのせかい
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「い、色の人型の闘士、シキモンじゃ!」
「色の闘士が二人!?」
「敷物〜?」
「バカモンオロカモン!! シキモンじゃい!」
「オレバカモンでもオロカモンでもなくてネーモン……」


 そうか、シキモンは色の闘士なのか。グロットモンが、ハクジャモンに対してシキモンのスピリットを奪え! と叫ぶ。
 身体がいつもよりも軽かった。わたし、というかシキモンは飛んで、ハクジャモンに向かっていった。


「色即是空!」


 技名なんて、知らなかったはずなのにいつの間にか出せていた。
 ハクジャモンが灰色の煙に包まれ、ハクジャモンはうめく。ちゃ、ちゃんと技が効いてる――。


「セブンズヘブンズ!」


 セラフィモン様も加わり、悪の闘士たちは皆、その技に倒れる。究極体で天使だから、技の力も強いんだ!


「あなた方は逃げてください、ここは私が!」
「そんな!」
「あんた一人を残して五人を相手にするなんて、無茶だ!」


 わたしたちはもちろんそれを止めたけど、メルキューレモンは奴らをねらえ、と指示した。そ、そうか、わたしたちがここにいたら逆に大変なんだ!
 悪の闘士たちは、その言葉に従い、わたしたち目がけて向かってくる――ハクジャモンは、さっきのシキモンの技の威力のせいか、うずくまったままだった。


「セブンズ……」


 セラフィモン様が、さっきやった技と同じものを、悪の闘士たちに放とうとする――メルキューレモンが、鏡を構えた。


「ヘブンズ!」
「ジェネラスミラー!」


 メルキューレモンは、セラフィモン様の技を鏡に吸収させ、跳ね返した。セラフィモン様にセブンズヘブンズが当たり、デジコードが浮かび上がる。
 ――メルキューレモンは、何のためらいもなく、そのコードを奪った。
 この世界の、神様と言えるべき人が亡くなった。誰かの大切な人の死を、目撃してしまった。


「ッ……!」


 激しいめまいに、わたしは頭をおさえる。何も考えられなくなってしまった。この世界は、どうなってしまうの。わたしが進化しても、何も変えられないままなの。




「ただ一つの希望が消えてしまった――、終わりだ、デジタルワールドは終わりだ――!」
「まだよ、まだこのたまごがある!」

 泉ちゃんはセラフィモンのたまごを抱え、走る。そして、わたしたちの元へ来た。
 ソーサリモンさんは泉ちゃんの言葉でハッ、とした。

「そうだ、まだたまごがあった! それにオファニモン様がまだご無事でいるかも知れない、それまでたまごを守るんだ!」


 悪の闘士たちはじりじりと迫り来る。そのとき、壁が急に壊れて、そこから扉が現れた。わたしたちは進化を解いて、ソーサリモンさんに付いて行った。その扉をくぐりぬけた先は、海上トンネルだった。ソーサリモンさんは、トレイルモンにお乗りください、と言った。


「ソーサリモンは!?」
「デジタマを――セラフィモン様をお守りください」


 ソーサリモンさんはそれだけ行って、追ってきた悪の闘士たちを引き止める――それじゃあ、ソーサリモンさんが死んでしまう!
 ゆっくり、扉が閉まっていく。悪の闘士たちが迫ってくる。
 ――扉が完全に閉まった。トレイルモンは、発車し出す。
 セラフィモン様も、ソーサリモンさんも――亡くなってしまった。
 頭ががんがん痛くなってきて、目まいがする。そういえば、今日二回目の目まいだ。
 死ぬ、なんて。どうして――わたしの意識は、いつの間にかどこかへ行ってしまった。



*
 どうして、あんなにかんたんに生命を奪うことができるの?
 何のために皆戦うの? せっかく、戦えるようになったのに。戦う、ってことは、殺す、ってこと?
 でも、あれは悪の闘士。人を傷つけるばかりの、デジモン。
 気付けばわたしは真っ暗闇にいた。ここは――どこかで見たことがある。夢のなかで、だ。カラツキヌメモンのときに、見た夢。
 でも、あの時見た兎はいない。わたしは暗闇を歩く。
 とおく、先の方で、輝二くんそっくりの紅い瞳をした男の子が、わたしを見ていた。





110813
森のターミナル編おわた\(^o^)/
おはなしぐだぐだその2\(^o^)/
紅い瞳をした〜ってのはダスクモン時に、輝二くんが一瞬見たあの赤目の輝一くんのことですん、分かりにくくてすみません。
赤目輝一さんもへ。

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