いろのせかい
「い、色の人型の闘士、シキモンじゃ!」[4/4] 「色の闘士が二人!?」 「敷物〜?」 「バカモンオロカモン!! シキモンじゃい!」 「オレバカモンでもオロカモンでもなくてネーモン……」 そうか、シキモンは色の闘士なのか。グロットモンが、ハクジャモンに対してシキモンのスピリットを奪え! と叫ぶ。 身体がいつもよりも軽かった。わたし、というかシキモンは飛んで、ハクジャモンに向かっていった。 「色即是空!」 技名なんて、知らなかったはずなのにいつの間にか出せていた。 ハクジャモンが灰色の煙に包まれ、ハクジャモンはうめく。ちゃ、ちゃんと技が効いてる――。 「セブンズヘブンズ!」 セラフィモン様も加わり、悪の闘士たちは皆、その技に倒れる。究極体で天使だから、技の力も強いんだ! 「あなた方は逃げてください、ここは私が!」 「そんな!」 「あんた一人を残して五人を相手にするなんて、無茶だ!」 わたしたちはもちろんそれを止めたけど、メルキューレモンは奴らをねらえ、と指示した。そ、そうか、わたしたちがここにいたら逆に大変なんだ! 悪の闘士たちは、その言葉に従い、わたしたち目がけて向かってくる――ハクジャモンは、さっきのシキモンの技の威力のせいか、うずくまったままだった。 「セブンズ……」 セラフィモン様が、さっきやった技と同じものを、悪の闘士たちに放とうとする――メルキューレモンが、鏡を構えた。 「ヘブンズ!」 「ジェネラスミラー!」 メルキューレモンは、セラフィモン様の技を鏡に吸収させ、跳ね返した。セラフィモン様にセブンズヘブンズが当たり、デジコードが浮かび上がる。 ――メルキューレモンは、何のためらいもなく、そのコードを奪った。 この世界の、神様と言えるべき人が亡くなった。誰かの大切な人の死を、目撃してしまった。 「ッ……!」 激しいめまいに、わたしは頭をおさえる。何も考えられなくなってしまった。この世界は、どうなってしまうの。わたしが進化しても、何も変えられないままなの。 「ただ一つの希望が消えてしまった――、終わりだ、デジタルワールドは終わりだ――!」 「まだよ、まだこのたまごがある!」 泉ちゃんはセラフィモンのたまごを抱え、走る。そして、わたしたちの元へ来た。 ソーサリモンさんは泉ちゃんの言葉でハッ、とした。 「そうだ、まだたまごがあった! それにオファニモン様がまだご無事でいるかも知れない、それまでたまごを守るんだ!」 悪の闘士たちはじりじりと迫り来る。そのとき、壁が急に壊れて、そこから扉が現れた。わたしたちは進化を解いて、ソーサリモンさんに付いて行った。その扉をくぐりぬけた先は、海上トンネルだった。ソーサリモンさんは、トレイルモンにお乗りください、と言った。 「ソーサリモンは!?」 「デジタマを――セラフィモン様をお守りください」 ソーサリモンさんはそれだけ行って、追ってきた悪の闘士たちを引き止める――それじゃあ、ソーサリモンさんが死んでしまう! ゆっくり、扉が閉まっていく。悪の闘士たちが迫ってくる。 ――扉が完全に閉まった。トレイルモンは、発車し出す。 セラフィモン様も、ソーサリモンさんも――亡くなってしまった。 頭ががんがん痛くなってきて、目まいがする。そういえば、今日二回目の目まいだ。 死ぬ、なんて。どうして――わたしの意識は、いつの間にかどこかへ行ってしまった。 * どうして、あんなにかんたんに生命を奪うことができるの? 何のために皆戦うの? せっかく、戦えるようになったのに。戦う、ってことは、殺す、ってこと? でも、あれは悪の闘士。人を傷つけるばかりの、デジモン。 気付けばわたしは真っ暗闇にいた。ここは――どこかで見たことがある。夢のなかで、だ。カラツキヌメモンのときに、見た夢。 でも、あの時見た兎はいない。わたしは暗闇を歩く。 とおく、先の方で、輝二くんそっくりの紅い瞳をした男の子が、わたしを見ていた。 110813 森のターミナル編おわた\(^o^)/ おはなしぐだぐだその2\(^o^)/ 紅い瞳をした〜ってのはダスクモン時に、輝二くんが一瞬見たあの赤目の輝一くんのことですん、分かりにくくてすみません。 赤目輝一さんもへ。 NOVEL TOP ×
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