いろのせかい
――はるか昔、この世界では人型のデジモンと獣型のデジモンが争っていた。そこへ、ルーチェモンが現れ、争いをおさめた。[2/4] ――しかし、ルーチェモンはいつしか思うがままに力を振るうようになり、デジモンたちを苦しめた。そこへ現れたのが、十闘士と、世の闘士。 ――闘士たちはルーチェモンを封印したあと、すぐに消えていった。世の闘士を除いて。世の闘士は、後世の為に、スピリットを世と色、二つに分けて残した。 だから、スピリットが十二あるんだ。 あ、そういえばあの石碑にも、よ とか いろ とか書いてあった! 「この城の近くにあるあの石碑って、何だったんだ?」 「あれは、文字通りあそこに世のスピリットが眠っているのです」 あんなところにスピリットあるけど、敵とかが来たらどうするんだろう。 「何でわざわざ二つのスピリットを残したのかしら……」 「色は光と闇の中間。ルーチェモンは天使デジモンであったのにも関わらず、悪となった。なので、光にも闇にも立ち向かえるように――と、色のスピリットを残したのです」 よく分かんないや――。 泉ちゃんの問いにセラフィモン様は静かにそう答えると「それから、ルーチェモンが封印された世を、ケルビモン、オファニモン、そして私がずっと守ってきたのです」と言った。 ところが、ケルビモンはある日突然にセラフィモン様に襲いかかり――そして、今までずっとこうして眠っていた。 「セラフィモン様がお眠りになられているあいだ、ケルビモンたちのせいでこんなに――」 ソーサリモンさんは雪の結晶みたいなステッキで、デジタルワールドの天球を出した。デジタルワールドは地球によく似ていた。でも、ところどころに穴が空いている。――ひどい。 「しかし、セラフィモン様がお目覚めになれば安心です。セラフィモン様がオファニモン様と手を組み、ケルビモンを倒せば――」 ケルビモンは元通りにはならないのかな、元の良い心を持った天使デジモンには――。 「ここまで来てくれて、感謝を申し上げる。あなた方は勇気のある方だ――」 セラフィモン様はそう言った。それを聞いて、皆嬉しそうな顔になって。 わたしは、といえば、役に立ってるかなんてわからないから、微妙なかんじだったんだけども――。 「しかし、これ以上あなた方を巻き込むわけにはいかない。戦いがはじまる前に、どうか人間の世界にお戻りください」 「えっ」 「ここまで来て帰れだなんて!」 そ、そんなカンタンに帰れるものなのか! でも今更そんなことを言うだなんて、ひどい。そのとき、だった。 ガラスの割れるような音がして、振り返った先には――グロットモンと、見たことのないデジモンがいた。 NOVEL TOP ×
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