おわりのはじまり
「これは、ある世界のお話だよ」[1/3] 大好きだったあの人のお話に、耳を澄ましていたあの時。 親友と手をつないで遊んでいたあの時。 三年経てば、わたしには、もうそのどちらも残っていなかった。 本に栞を挟んで閉じる。読み終えてしまえば、物語は終わる。物語の人々のその後は描かれていないから、わたしは色々なことを思う。 ハッピーエンドのその後も、本当に幸せな日々が続いたのか。ずっと、幸せだったままなのか。友達と外で遊ばず、本ばかり読んでいるわたしは、物語の続きばかりを考えている。 わたしは自分に自身がなくて、いつもうじうじしている。だから余計に、空想にばかり耽ってしまうのだ。ある意味それは現実逃避なのかもしれないなあ、と思う。 NOVEL TOP |