てのひらのせかい
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 わたしはボコモンを呼び、みんなを石碑の前へ案内した。みんな、不思議そうに石碑を見つめている。


「ボコモン、この文字ってなに?」
「これはデジモン文字といって、デジタルワールドで古くから使われてきた言葉じゃい」


 デジモン文字、かあ。文字っていうか、記号ちっく。くさび形文字みたいだな。

 どうしてか、異世界なのに看板に日本語が書かれてたり、スピリットのマークが漢字に似てたりとかしてたけど、デジモン文字もたまにだけど見かけた。
 この世界に来たときから、気になっていた文字。
 わたしはこの文字を知りたいと思った。もちろん、意味も。

 ボコモンは、わたしにデジモン文字を教えるべく、石碑と本に書かれている文字とを一つひとつ見てくれた。文字の法則がすごくシンプルだったから、覚えるのも簡単そうだった。
 わたしは、ボコモンの助言を受けながらもその石碑と文字を照らし合わせ、石碑に書かれている文字を読み始めた。


「よ、よの、とうし、よ……、せ、せかい、な、り、けり、ま、また、いろ、とな、り。よの、た、ましい、こ、こに……、あ、あり……」
「世の闘士だって!?」
「それに、よのたましい、ってここに世のスピリットがある、ってこと!?」


 みんな驚いていた。もちろんわたしも。
 どうしてこんなところにこんなものがあるんだろう。


「じゃあそれが想さんのスピリットなんだよ!」
「可能性としてはあるな。想。デジヴァイス出してみろ」
「……えええ」


 友樹君、輝二さん……何でそうなるの。
 わたしは言われたとおり、とりあえずデジヴァイスをポケットから出す。みんなが、期待のまなざしでわたしを見つめる――でも、デジヴァイスが再び光ることはなかった。


「……違ったみたい、だね」


 何だかむなしかった。
 わざわざ皆でここまで来たのに、何も無いだなんて――気まずいような感じもする。


「元気だせよっ! なんとかなるって!」
「……その根拠はどこから来るんだ」
「何だよ! いーじゃんか別に!」


 拓也君は明るい笑顔で笑ってくれた。とてもさわやかで、立派な人だと思う。輝二さんもばっさりしすぎだけど、いつでも冷静に現実を捉えている。
 はー、二人ともすごいのに、何でケンカするのか。


「まあまあ、二人とも、そのくらいにしてっ。とりあえず一旦、お城に行ってみましょう? ね、想」


 泉ちゃんがぱんぱん、と手を打ち、拓也くんと輝二さんの仲裁をする。そして、わたしを見てウィンクした。――横で、純平さんが「い、泉ちゃあん!」と言って、友樹くんがドン引きした顔でそれを見る。

 わたしたちは、お城に行って、それからまたここに戻る――ということになった。わたしたちは木を抜けて、歩き出す。
 わたしがこの世界に来たことの意味も、善悪の意味もまだ何も分からない。ただ、わたしは世界がもっときれいに見えるようになりたいなあと思ってるよ――


(あっ、)


 わたし、ほんの少しだけ前向きになれてる。昔のわたしだったら、何も変わろうとしないままだった。
 もしかして。輝二さんの励ましのおかげとか、かなあ。――何か、少し恥ずかしいような気がするなあ。




110812
ぐだぐだですね\(^o^)/
そしてアニメ13話沿いと見せかけてオリジ回!


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