にげちゃだめだ
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ほえろヴリトラモン! 倒せギガスモン!
 ヴリトラモンは暴れたまま。暴走を止めようとしたガルムモンもブリッツモンもやられてしまっている。
 ヴリトラモンがこっちを向いて攻撃しようとした。本当に我を忘れてしまっているようだった――怖い!


「ガルムモン、戦うの?」


 泉ちゃんはガルムモンを見た。輝二さんだってこんなことしたくない、でも戦わなくちゃいけないだなんて!!
 ヴリトラモンの炎のせいで、森はメラメラ燃え盛っていた。デジモンになれるガルムモン、ブリッツモンは必死に火を消そうとしていたけれども、それ以上に火力が強すぎる――。煙がもくもくと湧き上がる。


「ここも煙にまかれてしまうぞい! 安全なところに逃げるんじゃ!」
「うん!」
「待って、友樹くんが!」


 友樹君はすっかり燃え尽きてしまって、黒焦げになった木々を見つめていた。その友樹君の手を引っ張り、泉ちゃんは急いで走っていく。
 ヴリトラモンは雄叫びを挙げていた。拓也君は、本当にこわい獣の様になってしまった。


「いつもの拓也はどこへいったの!?」
「獣の本能に振り回されとるんじゃ!」


 そんなこと、言ったって。
 ビーストスピリットをコントロールする、というのはかなり難しいコトらしい。それも、スピリットをデジモンが、じゃなくて人間が操る――となれば、更に大変なんだろう。
 でも、輝二さんはいつの間にかスピリットを制御出来た。だから、拓也君も早く――!!


「グアアァァ!」
「うわああっ」


 逃げた先にも、ヴリトラモンがすっ飛んできた。た、拓也君!!
 すかさずブリッツモンが現れて、ヴリトラモンを止めた。


「いまのうちに逃げるぞい!!」


 わたしたちはひたすら走りだした。心のなかでブリッツモンに感謝しながら。

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