ほむらのけもの
「アースクエイク!」[4/4] ギガスモンは追い打ちをかけるようにアグニモンたちに襲いかかる――そんな時だった。 いきなり、神殿から紅い龍が飛び出してきた。紅い龍はギガスモンにぶつかり、ギガスモンは弾き飛ばされる。 「グオオォォ……!」 「あ、あれは伝説の炎の闘士ヴリトラモンじゃ!」 「何!? ――あれが、探していたオレのスピリットなのか?」 アグニモンはうろたえる。いや、アグニモンだけじゃない、皆おどろいている。だって、あんな恐ろしいデジモンだったなんて……! ヴリトラモンを止めようとしたゴーレモンごと、ヴリトラモンは空へ舞い上がる。その圧倒的な力に押され、ゴーレモンは落下してデータも消えていく。 おそれをなしたギガスモンは土の中へと消えていった。それによって、魔方陣はなくなり、輝二さんはわたしたちの元へ駆け寄る。 「ものすごい迫力……!」 「味方なのか――?」 「あたしには悪の闘士にしか……」 「こわいよ……」 とにかく、危険すぎるので下がって様子を見ることにした。 アグニモンはヴリトラモンに対してバーニングサラマンダーを放つ。しかしそれはかわされてしまい、ヴリトラモンはアグニモンを踏みつけた。 「あぁっ!」 ビーストと、ヒューマン。力の差なんて歴然としすぎている。でも、そんなとき――どうしてか急にヴリトラモンの動きが止まった。 「バーニングサラマンダー!」 アグニモンはそれを機にヴリトラモンを蹴り上げ、そしてヴリトラモンをスキャンした。 すると、シャーマモン出てきた。どうやら、間違えて炎のビーストスピリットを得てしまい、それに取り込まれ、暴れていた――とのことだった。 「う、うおおおっ」 「拓也君!」 ……アグニモンが、ヴリトラモンになった。 ヴリトラモンは、さっきのシャーマモンのヴリトラモンのように――いや、それよりも激しく暴れだした。大地に火が燃え移る。 「ビーストスピリットに翻弄されてるんじゃ!!」 ヴリトラモンはブリッツモンを殴り始める。 ボコモンが逃げるんじゃ! と言い、戦えない組のわたしたちは走りだす。拓也君――! そして輝二さんは、デジヴァイスを手にし、ガルムモンになった。 わたしは、また何もできず、逃げることしかできなかった。――逃げながら、シャーマモンの言葉の意味を考えた。善悪、か。 110727 NOVEL TOP |