ぜったいいえない。
[3/3] 「輝二!」 わたしたちはあれからすぐに、ヴォルフモンのあとを追った。 そこにいた彼はヴォルフモンではなく、輝二さんの姿だった。てことは、進化が解けるほどに強くやられてしまったんだ。あっ、ボコモンとネーモンも一緒にいる。 でもそれより、何かが地面の中から出現するのが見えた――輝二さんのデジヴァイスも光っている。あれは、スピリット!? 「ビーストスピリットー!!」 輝二さんは叫ぶ。スピリットは輝二さんのデジヴァイスのなかに格納された。そして、 「スピリット・エボリューション!」 「ガルムモン!」 彼は狼のような、犬のような機械デジモンになった。ガルムモンは、まるでホンモノの狼がするように、遠吠えをした。 「輝二が、進化した!」 「ヤツがビーストスピリットを……!?」 でもガルムモンは、木に体当たりをしたりして、様子が明らかにおかしかった。 「まだ、スピリットを制御できないんじゃ!」 そ、そんなっ! でも。人が獣になる、ってことはやっぱり難しいコト、なんだよね――。今の輝二さんは野生の魂が強いんだ……。 それを見ていたギガスモンはにやり、と汚く笑って、ガルムモン目がけて走る。狙いはもちろん、ビーストスピリットだった。 ガルムモンもギガスモンに向かい、突進していく。 「まずいっ逃げるんじゃ!」 「えー?」 ボコモン、ネーモンがわたしたちのところへ戻ってくる。ああ、でもガルムモンはどうなるんだ――! 辺りが真っ白になって、強烈な爆発音がして、三つあった石像もろとも崖は崩れ、ギガスモンはそれらと共に海に落ちて行く。 「俺が、ビーストスピリットを手に入れたのか……」 ガルムモンは輝二さんに戻り、そしてそれだけ呟くと、そのまま倒れて、海に落下しそうになる。 その落ちそうになった輝二さんの腕を掴んだのは、岩っぽいデジモンだった。ゴツモン、って名前らしい。 「お前が背負い込んだ、オレのスピリット! 渡してやったんだ、しっかりやれよ」 ゴツモンはそう言った。よく分からないけど、二人の間には何か絆があるんだな――。 とにかく、無事に戻ってきた輝二さんを見て、わたしはほっと息をついたのだった。寂しかった、とか思ったなんだなんて、絶対言えない。 110725 NOVEL TOP ×
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