瞳のなかのリグレット
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 意識を取り戻した時、わたしの身体は氷と雪によってすっかり冷えきっていた。
 そうだ、わたしはロードナイトモンの攻撃ですっかり意識を手放してしまっていたんだ。


「想ちゃん、無事か!?」
「こう、いち、くん……?」

 輝一くんがわたしを介抱してくれた。同じように気を失っただろう輝一くんには、傷ひとつなかった。
 身を起こすと、頭がずきん、と痛んだ。
 皆ももう目を覚ましていたようで、カイゼルグレイモンやマグナガルルモンがどこにいるのか気にしていた。

 ――二人とも、無事でいて。
 進化できないわたしが出来るのは、悲しいけれど、祈って応援すること、だけだった。

 わたしは、自分の手のひらをぎゅっとを重ねて祈っていた。
 ふいに輝一くんの方を見て、目が少し虚ろになっていたことに気付く。

「輝一、くん……?」
「な、何?」
「や、あの、ね、っ!?」

 わたしが輝一くんに言葉を紡ごうとしたときだった。地響きがして、空からはあの厭味なピンク色の高笑いが聞こえて。


「ああっ!」
「データ、貰った!」


 純平さんがせっかくデジコードをバラバラにしてくれたのに。それすらも、元のように繋がれてスキャンされるなんて――!
 地面がなくなって、わたしたちは闇の底へ引きづられそうになる。


「うわあああ!」

 マグナガルルモンとカイゼルグレイモンは、落ちていくわたしたちを抱きかかえる。


「すまない、俺が油断した隙に……」
「違うまき、よく頑張ったぞい!」
「うん、そうだよ、デジモンさんだってちゃんと避難できてたし、大丈夫!」

 わたしは、マグナガルルモンに向かって笑顔を見せた。
 ――輝二くんは、いつだって真っ直ぐだ。
 きっとボコモンやわたしがこう言っても、心のなかでは後悔ばかりをしている。
 輝二くんが苦しいと、わたしも苦しくなる。根拠なんかないけれど、大丈夫だよ、って、伝えたかった。

「残るは、オファニモンの城のエリアだ」
「そのエリアのデータを取られれば、ルーチェモンは復活してしまう。なんとしてでも、阻止しなければ……」
「……行こう、オファニモンの城のエリアへ」

 カイゼルグレイモンがそう言って、わたしたちは残されたエリアへと向かうのだった。
 輝二くんの思い詰めた声。さっきから、ずっと浮かない顔の輝一くん。
 皆、いろいろなことを不安に思っている。わたしもさっきは笑ったくせに、本当は不安でいっぱいだ。
 でも、進むことしか道はない。もう、後には引けないんだ。


140326
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