瞳のなかのリグレット
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データかく乱作戦! アキバマーケットを防衛せよ
 ――輝二くんは、いつだって真っ直ぐだ。


「こーじくん」
「な、何だ」
「また眉間にシワが寄ってます!」

 一人で車内の隅の方に座り込んでいた輝二くんに、声を掛けた。
 わたしがおどけたふうにびしっと指をさすと、輝二くんは少しだけ表情を緩める。

「考えている暇なんて、ないよな。とにかく、奴らの動きを阻止しないと……」

 輝二くんは、いつだって真っ直ぐで、鋭い。
 だから、輝二くんの思いつめた瞳が、とてもつらく感じる。

「……わたしは戦えないから、輝二くんや拓也くんには本当にありがとうって思ってるよ」

 無理をしないで、なんて言っても、輝二くんは危ういところまで突き進んでいってしまう。
 だから、これが今のわたしに言える最大限の言葉だった。――ありがとう。


*

 残る大地は、アキバマーケットのある氷の国とオファニモン様の城があったエリア二つ。
 わたしたちは、アキバマーケットに来ていた。
 ここは最初にヤタガラモンを見つけ、デュークモンさんに出逢った場所だった。
 デュークモンさんに逢えば何かが分かるかもしれない、と思っていた。けれど、実際は違った。余計に、分からないことが増えたような気がした。


『最後の地で、会おう』


 そんなことを言っていたけれど意味がわからない。だから、今は前に進むしかないんだって――、余計に強く思う。


 デジモンさんたちは、次々とトレイルモンに乗り込み疎開の準備をしている。
 わたしたちは、疎開をするデジモンさんたちのお手伝いをしていた。なんでもいいから、デジタルワールドの為に動きたかった。


「こら、ちゃんと列に並びなさい!」


 泉ちゃんがホイッスルを吹いて、横入りしようとしたワーガルルモンたちを叱る。あ、そういえば、前にトレイルモンレースに参加していたデジモンさんだ。


「心配しないで。ちゃんと全員乗れて、安全な場所に行けるから!」
「本当……?」

 言わないだけで、他のデジモンたちも同じように不安がっているんじゃないかと思った。
 泉ちゃんやボコモンは強く肯定して、皆が安心して並べるよう声掛けをしている。わたしも、負けてられない!

「こちらが列の後ろだよ、並んでならんでー」
「おかしだよ。押さない、駆けない、喋らないだよ!」
「想、なんかめっちゃ得意げだねえ」
「え」


 ネーモンの後に続いてそう言うと、ネーモンにはふにゃふにゃ笑われた。得意げって、何!
 もしかして、わざわざ言うことじゃない、とか!?


「はいはい、そんな面白い顔しなくていいから! ほら、純平頑張ってるわよ?」
「え? ……あ、本当だ!」


 泉ちゃんの目線の先には、アキバマーケットの中枢にある、ストーブタワーがあった。純平さんはそこで、街を移動させている。
 街のパーツごと移動させて、デジコードをパズルみたいにバラバラにしているようだった。
 うん、泉ちゃん泉ちゃんってにぎやかだけど、実は純平さんって頭いいもんね。

 純平さん以外にも、他の皆は今頃頑張ってくれている。
 わたしも、もっと頑張ろう!
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