正義を決めるものは
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「消えた……!?」
「チッ……。次はお前たちだ!」


 デュナスモンはひどく悔しそうだったけれど、すぐにカイゼルグレイモンに向き直る。
 そして、剣戟が再び始まる。

「お前の思い通りにはさせない!」
「ぐっ……、これでは埒が明かん!」


 カイゼルグレイモンは、着々と強くなっているみたいだった。
 素早い剣裁きでデュナスモンを追い詰め、デュナスモンは仕方がなく間をとり、仕切り直しを図ろうとした。
 カイゼルグレイモンは、もちろんこのチャンスを逃さなかった。


「一気に行くぜ! 炎龍撃!」
「ドラゴンズ・ロア!」

 カイゼルグレイモンの技の焦げた匂いと、炎の煙が巻き上がる。
 カイゼルグレイモンは、無傷だった。デュナスモンは、何のために必殺技を――。
 と、考えてハッとする。

「み、皆!」
「貰ったァ! 俺が気付いていないとでも思ったか?」

 デュナスモンの狙いは、クリスタル像だった。
 クリスタル像を護るようにして近くにいた皆も、少なからず衝撃を喰らったようだった。
 わたし一人だけは少し離れたところにいたから、ただ、皆を見ているだけしかできなくて。大地が、みるみると奪われていく。

「どうやら、勝負あったな」
「まだだ、まだお前は目の前にいる!」
「ならば、選べ!」
「い、いや……!」

 デジコードの固まりとなった大地に、引きずり込まれていく。
 このままでは、わたしたちもデジタルワールドのデータの残骸となってしまう。でも、ここでロイヤルナイツを逃すわけにはいかない――!

「仲間を犠牲にして戦うか、無様に背中を見せて戦うか」
「皆!」

 もちろん、優しい拓也くんだからわたしたちを助けてくれるに決まっている。
 でも、そのせいでデュナスモンは逃げてしまう。悔しかった。


「これで、あと二つ。また会おう!」


 わたしは、デュナスモンを睨んでいた。

*

 森の国へ行って、ロイヤルナイツに攻撃されて、デュークモンさんと出会って、――そしてまた、大地が欠けた。
 わけが分からなかった。デュークモンさんは何で
 二人はしばらく沈黙して、見つめ合ったままだった。

「ゴツモン……」
「……分かってる。もう、ワガママ言わないよ。足手まといにはなりたくないしな」

 このままで終わるのは悔しいだろう。それが分かっているからこそ、そう答えるゴツモンさんの笑顔が、輝二くんの悲しそうな背中が苦しい。

「……頼んだぞ、輝二!」

 輝二くんは、寂しそうに頷いた。
 そして、トレイルモンの扉が閉まり、走り出す。
 ゴツモンさんがだんだん遠くなっていく。二人の間には、確かに友情があったんだ。
 輝二くんは、しばらく窓の外を見つめていたままだった。ゴツモンさんが、消えて見えなっても、ずっと。
 それから、わたしの隣に座った。
 わたしと輝二くんは肩を並べて座り、次の地を待つ。

「今日だけで、色んなこと、あったね」
「……そうだな。早く、ロイヤルナイツやルーチェモンを倒さなくてはいけないんだ」

 輝二くんはひどく思いつめた瞳だった。輝二くんにはそんな顔してほしくないけど、今のわたしも、きっと似たような表情をしているんだろう。

「わたし……分かんない。どうして、一生懸命戦っているのに、デュークモンさんは……」
「……想。今は、ただ……前に進むしか、ないんだ」

 うん、と頷いた。
 戦っている輝二くんの支えになりたい。だから、わたしも、前を向いて、進み続けるんだ。
 いつの間にか、日が暮れようとしていた。わたしたちに何があっても、何を思っても、太陽と月は変わらずに周っている。






140318
・デュークモンさん回!
・ご都合主義みたいな話ですみません。
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