正義を決めるものは
[4/4] 「消えた……!?」 「チッ……。次はお前たちだ!」 デュナスモンはひどく悔しそうだったけれど、すぐにカイゼルグレイモンに向き直る。 そして、剣戟が再び始まる。 「お前の思い通りにはさせない!」 「ぐっ……、これでは埒が明かん!」 カイゼルグレイモンは、着々と強くなっているみたいだった。 素早い剣裁きでデュナスモンを追い詰め、デュナスモンは仕方がなく間をとり、仕切り直しを図ろうとした。 カイゼルグレイモンは、もちろんこのチャンスを逃さなかった。 「一気に行くぜ! 炎龍撃!」 「ドラゴンズ・ロア!」 カイゼルグレイモンの技の焦げた匂いと、炎の煙が巻き上がる。 カイゼルグレイモンは、無傷だった。デュナスモンは、何のために必殺技を――。 と、考えてハッとする。 「み、皆!」 「貰ったァ! 俺が気付いていないとでも思ったか?」 デュナスモンの狙いは、クリスタル像だった。 クリスタル像を護るようにして近くにいた皆も、少なからず衝撃を喰らったようだった。 わたし一人だけは少し離れたところにいたから、ただ、皆を見ているだけしかできなくて。大地が、みるみると奪われていく。 「どうやら、勝負あったな」 「まだだ、まだお前は目の前にいる!」 「ならば、選べ!」 「い、いや……!」 デジコードの固まりとなった大地に、引きずり込まれていく。 このままでは、わたしたちもデジタルワールドのデータの残骸となってしまう。でも、ここでロイヤルナイツを逃すわけにはいかない――! 「仲間を犠牲にして戦うか、無様に背中を見せて戦うか」 「皆!」 もちろん、優しい拓也くんだからわたしたちを助けてくれるに決まっている。 でも、そのせいでデュナスモンは逃げてしまう。悔しかった。 「これで、あと二つ。また会おう!」 わたしは、デュナスモンを睨んでいた。 * 森の国へ行って、ロイヤルナイツに攻撃されて、デュークモンさんと出会って、――そしてまた、大地が欠けた。 わけが分からなかった。デュークモンさんは何で 二人はしばらく沈黙して、見つめ合ったままだった。 「ゴツモン……」 「……分かってる。もう、ワガママ言わないよ。足手まといにはなりたくないしな」 このままで終わるのは悔しいだろう。それが分かっているからこそ、そう答えるゴツモンさんの笑顔が、輝二くんの悲しそうな背中が苦しい。 「……頼んだぞ、輝二!」 輝二くんは、寂しそうに頷いた。 そして、トレイルモンの扉が閉まり、走り出す。 ゴツモンさんがだんだん遠くなっていく。二人の間には、確かに友情があったんだ。 輝二くんは、しばらく窓の外を見つめていたままだった。ゴツモンさんが、消えて見えなっても、ずっと。 それから、わたしの隣に座った。 わたしと輝二くんは肩を並べて座り、次の地を待つ。 「今日だけで、色んなこと、あったね」 「……そうだな。早く、ロイヤルナイツやルーチェモンを倒さなくてはいけないんだ」 輝二くんはひどく思いつめた瞳だった。輝二くんにはそんな顔してほしくないけど、今のわたしも、きっと似たような表情をしているんだろう。 「わたし……分かんない。どうして、一生懸命戦っているのに、デュークモンさんは……」 「……想。今は、ただ……前に進むしか、ないんだ」 うん、と頷いた。 戦っている輝二くんの支えになりたい。だから、わたしも、前を向いて、進み続けるんだ。 いつの間にか、日が暮れようとしていた。わたしたちに何があっても、何を思っても、太陽と月は変わらずに周っている。 140318 ・デュークモンさん回! ・ご都合主義みたいな話ですみません。 NOVEL TOP |