みてるだけしか
雲ひとつない空を見上げながら、わたしは輝二さんのことを思った。正直言ってあの人のことは感じ悪いという印象しかない。だけども、やっぱりどうしているのかが気になる。だって、いくらデジモンになれるとはいえ一人でこんな知らない世界を彷徨うなんてわたしにはできっこない。わたしも協調性ないし複数人と長時間いるのはニガテ、だけども一人になったらゼッタイわたし死んじゃうし――はあ。[1/4] 伝説の五闘士VS新たなる闘士! 帰りたい。結局何もできないのはわたしで、みんなは戦うことができる。お母さんとお父さんにも会いたいし、大体、わたしは身体が弱いし。 今は、みんなで商店街に来ていた。和風っぽくて、建物には日本語が使われてたりとかして、パッと見だったら人間界みたいなのにそこにいるのはデジモンだった。 「カネもねぇクセに飯食わせろなんてふざけんな!」 とりあえず腹が減っては戦はできぬ、ということでご飯を食べに来たんだけど、この世界で使えるお金なんて持ってるはずもなく。店を追い出されてしまったのだった。 泉ちゃんは自分の手持ちを見せたんだけど、ボコモンいわくこの世界ではただのガラクタでしかないとかで。 「じゃ、この世界のお金ってどんなんだよ、どうやったら手に入んだ?」 「どんなものかは働いてかせげば分かるまき!」 まあそりゃあそうだよね、でもわたしたちは小学生だから働くことができないよ。この世界にそういったことが通用するのかどうかは分からないけど――。 「働けってのか!? 小学生のオレたちに!」 「貸してくれないの?」 友樹くんが言った。 ボコモンは腹巻の中から緑色のがま口財布を出して、 「しかし、わしも持っとらんのじゃ!」 それを逆さに振りかざす。うん、確かにお金の出てくる気配はなしでなんかゴミみたいなカスが出てきた。と、いうかよく今まで生活できたな、ボコモン……。 もう、疲れちゃって歩くのがしんどい。他の皆もみんなで、お腹がすいて力が出ない状態。アンパンマンならこんなとき餡パンをくれるのにっうう。 でもボコモンとネーモンは、そんなことお構いなしにすたこらさっさと歩いている。 「お腹すいた……」 「何でもいいから……」 「食べ物を……」 「あし、痛いよお」 「はぁ……お? みんな、あれ、あのノボリ!」 急に純平さんが声をあげたから何事かと思えば、そこには「助っ人募集、メシ食べ放題」の文字があった。 「その話、のったー!」 それを見た皆は全速力で駆けていって、わたしとボコモン、ネーモンはその跡を一生懸命追わなくちゃいけなかった。あし、痛いのに。 NOVEL TOP ×
|