愛と生命を育み
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「ここは、一体――ッ!」
「ファントモンの水晶の中にいるみたいだ!」


 チャックモンが言った。攻撃をしようと、白い壁に拳を打ち付けても何の反応も示さない。でも、急に目の前の白が割れて、そしてわたしたちは再びバラの明星の頂上に戻って来ていた。
 ファントモンは、レーベモンの攻撃に負けたみたいだった。


「乱されし邪悪な心よ、闇に埋もれて眠るがいい! このデジヴァイスで浄化する! デジコード・スキャン!」
「やったぞい」
「みんなぶじでよかったです〜!」


 レーベモンのおかげで、わたしたちは危機を乗り切ることができた。――やっぱり、強い。
 わたしは何だか安心して、腰が抜けそうになった。


「レーベモン……」


 ヴォルフモンが、レーベモンの名を呼ぶ。きっと、それには「ありがとう」の気持ちが込められているんだろう。直接言葉にしないところが、輝二くん、ヴォルフモンらしい。


「レーベモン! 感謝いたす〜!!」
「あ、ああ」


 ――わたしも助けてくれたことが嬉しかったから、素直にそれを表現しようとした。けれど、言葉はやはりシキモン流に変換されてしまうから恥ずかしい口調になった。つ、つらい。



*


 それから、開かれた門の先へと向かう。そこは、長いながいらせん階段だった。皆で、そこをずっと駆けていく。

「何だ、ここは!?」
「どっちに進めばいいんだ!?」

 走り続けていくと、ひとつの部屋に行き当たった。そこにも、らせん階段があった。けれど、階段はいくつもあって空中には四角いデジコードが浮いている。歩いていると、デジコードの手がおそろしい鳴き声とともに伸びてきた。


「なっ、何奴!?」
「何なのよ、これっ」

 手は、シキモンたちに飛んできていた。襲われるのかと思っていると、ベルの音が聴こえた。その音が聴こえはじめると、デジコードの手の動きは止まっていく。

「ここは、牢獄の間」

 現れたのは、ゴートモンというやぎのようなデジモンだった。
 ここは、ケルビモンの魔の手によって犠牲になったデジモンたちが葬られている場所、らしい。

「このケルビモンの城は迷路のように複雑だ。私がオファニモン様のところへ案内しよう」

 と言っても、それが罠かもしれない。軽々しく信用することはできないのだけれど――、パタモンは、ゴートモンさんになついて離れようとしなかった。きっと、パタモンがくっつくのだから信用できるデジモンさんなんだろう。だから、シキモンたちはそのままゴートモンさんに導かれるままついていった。
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