わたしは彼岸を見つめている
ずっと気付かなかったけれど、わたしにとって輝二くんは、とても大切なひとで、だから彼が悩んでいることがつらい。だから、わたしは彼を支えたいのだ。[1/2] 明かされた過去! ダスクモンの秘密 走り続けていると、息が切れて輝二くんがあっという間に見えなくなってしまった。あ、と思ってわたしはまた足に力を込めようとした、けれど、背後から拓也くんの声が聞こえた。 「想ー!」 「た、拓也くん……っ、」 「お前大丈夫か? 顔真っ赤だよ」 「ちょっと、息切れ、しただけっ」 「無理すんなよ、一緒に輝二んとこ行こうぜ」 それから拓也くんはわたしに手を差し出し、わたしは拓也くんの手を取る。それから、拓也くんはわたしに合わせて走ってくれた。 わたしの横を走りながら、拓也くんは言った。 「想。さっき想が人間界に戻った時の話してたけど……オレも人間界に戻ったとき、弱気になってた」 「え」 拓也くんがそんなことを言うなんて意外だった。 「オレに戦えるわけないって思い込んでて――逃げたくなってたんだよ」 「そんな……わたし、拓也くんってすっごく強い人だと思ってた」 「そんなことねーよ。輝二だって今あんなだし。そしたら、仲間が支えるってすっごく大事だろ!?」 「……そうだね。わたしたちが、輝二くんを支える番だよね」 ああ、と頷いて拓也くんは笑った。おひさまみたいに眩しい笑顔だった。 わたしは望ちゃんが言ってくれた言葉を思い出す。――光の子を支えられるのは、想、だって――。 しばらく歩いてさまよっていると、わたしたちはパタモン、ボコモン。ネーモンと遭遇した。 「パタモンが迷子になって、探してたらおれらも迷子になってたの」 「ごちゃごちゃ説明なぞいいんじゃ! 輝二はんは?」 「それが……どこにも」 「おにさん、こちら、てのなるほうへ!」 パタモンが、飛んでいた。そうか、パタモンはきっとセラフィモン様の生まれ変わりだから居場所が分かるんだ。 それならば……はっとして、わたしはデジヴァイスを取り出す。そして、ボタンを触る。あの二人は、どこにいるの。 「あっ。わたしのデジヴァイスも!」 すると、またわたしのデジヴァイスも世のマークを映して、パタモンが向かった道のほうを差し始めた。わたしは、パタモンに続いた。少ししてから、皆も追いかけてきた。 * 「……ねえ、拓也くん。わたし人間界に戻ったとき、輝二くんにそっくりな子を見たの」 「え? それって……青い野球帽被ってた子か?」 「知ってるの!? その子だよ。わたし……その子がダスクモンの中にいるんじゃないかって、思うの」 「それは本当かいな、想はん!」 「うん……夢のなかで、何度かその子を見たことがある」 わたしは走りながらそう語る。 ずっと、皆に言いたくてもなかなか言えなかったこと。ようやく、口にできた。はやく助けに行かなくちゃ――! パタモンが先を行く。わたしのデジヴァイスが道筋をしめす。先の方には、草木もなく枯れた大地があった。――そして上空には、ベルグモンがいた。 「ねえ、あそこに輝二がいるよ」 「……ッ、輝二!!」 輝二くんが攻撃されようとしていた。ベルグモンが技を吐き出す。その時、拓也くんが飛び出した。 拓也くんが輝二くんを守った。そこの地面は――えぐれてしまっている。 「輝二くん、拓也くん!」 ベルグモンが再び二人に襲い掛かろうとしていた。 「だめだめだめ〜! エアーショット!」 「パタモン、逃げて! スピリット・エボリューション!」 パタモンが時間稼ぎをしようにも、まだ成長期のあの子には無理がある。だからわたしは、イナバモンなった。 NOVEL TOP ×
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