わたしが力となれるなら
堕天したセラフィモンはアルダモンに攻撃を放つ。でも、アルダモンには本物のセラフィモン様がやられてしまったセヴンズ・ヘヴンズも全く効いていないようだった。――これが、ダブルスピリットの力。[3/3] アルダモンがセラフィモンに近づく。後ろには、棺があった。 「ブラフマストラ!!」 「ウガアアアアッ」 そして、セラフィモンにはデジコードが浮かび上がった。 セラフィモン様のたまごの光が、堕天したセラフィモンを倒す力となるなんて不思議だ、と思った。 「汚れた悪の魂を、このデジヴァイスが浄化する! デジコード・スキャン!」 望ちゃんが倒そうとしていたセラフィモンが、倒れた。――このままいけばきっと、メルキューレモンもセフィロトモンも倒せる。 それから、球体からデジコードがたまごに向かってのびた。ボコモンもネーモンも、いつもののんきな調子で焦っていた。 そして、球体が明るさを失う。残りの球体は、あとひとつ。二人は最後のエリアに行ったようだった。 そしてアルダモンは炎の中で、メルキューレモンを倒した。 「皆っ!」 「た、拓也くん……っ」 アルダモンがわたしたちの元へやってくる。 一方同じ頃、ボコモンは自分がおめでたさん、ってわけでもないのに苦しんでいたけれど――、わたしは拓也くんがメルキューレモンを倒してくれたことが嬉しくて、涙が止まらなかった。……この世界で泣くのは何度めだろう。 「どーしたんだ、って、また想泣いてるし、ほら、涙拭けっ!」 「う、ご、ごめん、もう泣いてないよ!?」 「いや、思っきり泣いてるからな!?」 ――これで、望ちゃんがずっと成し遂げようとしていたことが、これで一つ片付いた。あとは、セフィロトモンを倒すだけだ。わたしはそのことを考えるだけで、胸がいっぱいになって涙が止まらなくなったのだった。 でも、なんかわたし情けない? 「想はん、泣くなはら、もうすぐ、う、う、生まれる……っ、」 「ボコモン……!」 「あっ、」 ボコモンのお腹が――いや、たまごが光る。そして、煙に包まれてたまごが割れた。割れた、のはいいんだけれど、その音が何だか拍子抜けしていて皆で笑ってしまう。 そして、たまごから生まれたのは。 「この子は?」 「パタモンだ!」 「ぱたぱたー」 腹巻をした、パタモン、というデジモンらしい。腹巻をしているのは遺伝? なのかな。 「わ、我がムスコムスメよ!!」 「ムスコムスメ!?」 「なんだそりゃー」 「……語感わるくない?」 「想さん、それは言いすぎだよー。ねえ、ボクにも抱かせて!」 「あ、あたしもあたしもー!」 つかの間の休息、っていうのはまさにこのことなんだろう。 気付けばわたしの涙も引っ込んでいた。わたしはパタモンを見ながら、光と闇の闘士のことを考えた。今も、二人は戦っている。 ――そしてわたしは、輝二くんによく似たあの子のことを言うべきなのか。そのことで頭がいっぱいになっていた。 130207 オリジ回できてないのに書いた話 回を追うごとに夢主さんが涙もろくなってすみません。 NOVEL TOP ×
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