善悪/古代デジモン復活
 高校二年の終わりごろから書き始めたデジタルワールドでの出来事の回顧録は、ついに文庫本一冊ぶんくらいにまで膨れ上がった。この数年間、わたしはずっと箇条書きから少しずつ肉付けをして、二〇〇二年に体験したあの冒険を綴り続けている。
 デジタルワールドに行ったのは、わたしたちだけではなかった。だから、体験した日数が少ないとはいえ、もし他に一人くらいはわたしと同じように回顧録を書く人がいるに違いない。
 わたしは嬉しかったこと、楽しかったこと、嫌だったこと、腹が立ったこと、泣いたこと、当時思ったすべての感情を文章に吐き出している。未だに、この回顧録は輝二くんと純平さんにしか見せられることが出来ない。輝二くんに感じたときめきのシーンなんか、読み返すたびに顔が赤くなるから皆に見せる勇気がまだ持てない。
 様々なことを書いてきたけれど、曖昧で確かに思い出せない出来事がある。夏のにおい、フニクリ・フニクラ、緑色の猿、人と獣、いにしえの伝承。そんなワードでしか思い出すことが出来ない、とある出来事。まるで、あの出来事だけがケルビモンやルーチェモンを倒す為に旅していたものとは違うルートであったかのような――、上手く形容できないけれど、そんな感じだ。
 手繰り寄せて、絡まっていた糸が解けるように。少しずつ考えていけば、あの思い出しにくこともはっきりと思い出せるようになるんだろうか。そう思って、わたしはまず一番最初に記憶に残っていたメロディを思い出しながら回顧録を書き始めた。






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・いつか書きたい古代デジモン復活沿い
・こういう出だしで夢主が高石ポジションなはなし。
・コエモンも出るよ!
・エンシェントもえ。
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