タイガーヴェスパモン
※夢主はXW漫画沿い主



 初めて出逢ったときから、彼はタイガーの名を冠していた。ヴェスパモン軍隊のなかでもトップの0.08%に立つ彼に与えられた名前、それがタイガー。
 彼はその両手で、沢山のデジモンの命を奪ってきた。その彼が、終にはわたしと共に歩むことを選んだ。未だにわたしは彼にとってその選択が善かったのかのか、と考える。
 わたしと旅をするようになった彼は、もうその名を棄てたと言う。けれど、わたしは彼に誇りと畏怖の念を込めて、彼をタイガーと呼ぶ。

「タイガーちゃん」

 彼は、振り返って、機械めいた冷たい手を差し出した。わたしはその手を取る。この金属の感触は、慣れたものだった。
 わたしはきっと彼が消えてしまえば、生きていくことが出来ない。それは物理的にも、精神的にも。自分が彼に依存しているというのは自覚している。彼がいなくなってしまえば、わたしは自分を保つことが出来ないのだ。
 だからわたしは永遠に彼の傍にいたかった。この世界は、進化の光がなくなった代わりに、違う概念が存在する世界。クロスローダーを介してでしか、生物は姿を変貌させることが出来ない。わたしはクロスローダーを持っているのに、皆も、わたしも変わることはできない。それはわたしが希望を信じていないからだ。いつかこの世界は予言の通りに終わってしまう。

「ずっとわたしと一緒にいてね、タイガーちゃん」
「当たり前だろう。今更そんな事を言うのかい、君は」

 彼は優しい声色で言った。そうしたら、わたしはまた甘えてしまう。現実世界から帰れなくなって何年も過ぎて、わたしの居場所はあなたの傍だけなのだ。
 ねえタイガーちゃん、たとえどんなことがあっても、あなただけはどうか世界の終わりまで傍にいて。



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XW漫画沿い夢主とタイガーヴェスパモン。誰得。
話が溜まったら公開したいです。漫画は公式CPががっちがちなので誰寄りでもない。たぶんタイガーちゃんとキャッキャウフフする話だと思います。
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