永遠/夢主と虫デジモン
3年位前に書いたもの発掘。この当時は普通にアニメ版夢主だったし微妙にキャラが違う…*\(^o^)/*


 ミツバはタイガーのことをまるで父のように慕っていて、タイガーもタイガーで彼女を父のように見守っている。だから、端から見ていると、まるで本物の親子のようだった。

 普通、女の子は虫デジモンを毛嫌いしそうなものではあるが、ミツバは違う。むしろ虫デジモンを好んでいる。
 この俺クネモンや、弟のドクネモン、そして蜂のようなデジモンのタイガーと普通に旅をしていることからそれは明白である。


「タイガーちゃん、ゴキ、ごき。コワい」


 ミツバが指差したのは、少し離れたところにいるゴキモンの群れだ。
 ミツバは普段はゴキモンなんか平気なクセに、タイガーの前では甘えて所謂“汚物系デジモン”を恐れるフリをする。とんだ猫かぶりだ。


「ミツバは前に嬉々としてゴキモンに殺虫剤を振り撒いていただろう」
「それは気のせい」


 無理がある言い訳だ。
 うそぶくクセも、タイガーにはとっくに見抜かれている。しかしミツバはそれでも変わらずにコワいよ、と言うのだ。
 タイガーはミツバを宥めるためか、あの機械めいた手で彼女の頭を撫でる。するとミツバは、僅かに微笑んだ。

 ゴキモンの一匹が、ミツバたちに近づいた。ミツバはきゃあ、と力のない悲鳴を挙げる。


「あっ、ミツバさんじゃないっすかあ、こないだはどうも!」
「わたし虫とか汚いものは嫌なの……女の子だから」


 タイガーも私も弟も、みんな虫デジモンだ、とツッコみたくなる。
 それにこの会話には齟齬がありすぎる。


「何言ってんすか、こないだカラツキヌメモンの女の子紹介してくれたのミツバさんじゃないっすかー」
「き、きのせ」
「ミツバも他者と関われるのだな」


 タイガーが関心する。ミツバは会話をするのが苦手で、余程慣れている者相手でないとまともに話せなくなる。そのミツバが、他と交流を持った。タイガーにとっては、それだけで嬉しくなるんだろうな。……その交流の内容はともかく。


「ミツバ、成長したな」
「そ、そうかなあ」


 ミツバは照れて、猫かぶりをやめて素直に喜んだ。いつもそう素直にすればよいのに、どうしてタイガーの前でだけは、猫かぶりをするのだろうか。


「ミツバ、なんで虫は嫌なんだ? 俺も弟もタイガーも虫なのだぞ」


 何となく問うてみる。ミツバはしばらく黙ったままで、俺はどういう反応をするのか期待していた。


「でもクネモンが進化して、ヌメモンとかになったら泣く」
「ミツバは先日嬉々としてヌメモンに塩をかけていただろう」
「それは気のせい」


 ……ひどい堂々巡りだ。
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