木の闘士成り代わり
 私なんか死んじゃえばいいのに。三年も経つのに未だに慣れない家。隣の部屋にいる血の繋がらない弟。お母さんのためを思ったら、本当は早くお父さんにも弟にも慣れなくちゃいけない。でも、私はそれが怖かった。
 人が怖い、人の視線が怖い。私のこれは一生治らないんじゃないかと思う。私はずっとこのままで、人を恐れていくんだ。だから私は俯いて歩く。俯いていたら、嫌なものは見えない。風に吹かれて、タンポポの綿毛が飛んでいくのが見えた。

 携帯を持つようになっても、アドレス帳には家族しかいなかった。もはやこの機械は、ネットをするためだけにしか使わないものと化している。
 学校が終わればすぐ家に帰るし、それでなくとも週に1回は学校を休むから携帯のメールボックスには、契約会社のお知らせのメールが来るのみだ。だから、今日もそれが来るのかと思っていた。――けれど、違った。

 スタートしますか しませんか

 何だろうと思って開いたメールには、その文章と共に選択肢が付いていた。なんとなく触れて、YESを押してしまったことに気づく。しまった、と思うよりも先に、今度はまた新たな文面が、音声と共に表示される。

「源梢子さん、貴方の未来を決めるゲームがスタートしました」

 どうして、私の名前を知っているんだ。架空請求だったら、どうしよう。混乱して何を考えたら良いのか分からない。
 どうしたら良いのか分からなくて戸惑っていると、携帯から、また音声が流れる。それは渋谷駅に向え、というものだった。

 普段なら絶対行く気がしていなかった。なのに、どうしてだろうか、気付けば私は駅にいた。券売機で切符を手にしたあとに、見慣れた後ろ姿が目に映った。あの長い髪の少年は、間違いなく弟だった。
 弟は改札を通りぬけ、階段を降りていく。私は急ぎ足で彼に近づいて、その背中を叩いた。

「輝二……!」
「お、お前……」

 源輝二。それが、三年前に唐突に現れた私の弟の名前だった。弟は私を名前で呼んだことも、姉さん、と呼んだこともない。
 私は、母の為を思ったら、弟とは仲良くなりたいと思う。でも、弟は私や母に打ち解けようとはしない。私も、父に対しては未だに馴染めずにいるが、それでも父を父さん、と呼んでいる。

「今日はどこ、行ってたの?」

 聞いてもムダだろうなと思いつつも、私は声を掛ける。
 弟は友人が少ない。――いや、私に至っては友人は皆無だけど――、人と関わるのが苦手なのか、嫌いなのか定かではないが、弟が放課後友人と遊びに行くのを見たことがない。出掛けるとしてもいつも一人でいるけれど、わざわざ電車に乗ってまで出掛けることは珍しかった。

「い、いや……関係、ないだろ」

 やっぱり、だった。私は弟に拒絶されているのだ。分かりきったことだったのに。



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いつか書きたい話。

此岸の雨
木の闘士成り代わり夢。暗すぎるのでR-15。輝一落ち。
アニメ沿いだけどかなり端折って書く。無理やり全20話くらいで収めたい。
・ダスクモンのキャラソンに影響されてる。
・なるべく双子と悪サイド以外は登場させない。セカイ系並に狭い話。
・ほんのり善悪とリンクさせる。平行世界的な。

源 梢子
輝二母の連れ子。小六。
引っ込み思案な性格で、すこしませている。
とても母思いだが、新しい父には未だに馴染めずにいる。輝二とは仲良くなりたいと思っているが、肝心の輝二には嫌われていると勘違いしている。
常に俯いて歩いていて、とても暗く見えるのでいじめられやすい。過去にいじめられたことがトラウマで、他人とは常に距離を置く。パッと見根暗な外見のせいで更にいじめられやすいということに本人は気づいていない。
木の闘士成り代わりで花の闘士。人型は紫色のリリモン、獣型はブロッサモン。古代はエンシェントライラモン。
DWを一人で放浪していたところを悪の闘士に捕らえられ、悪の闘士としてケルビモンにより花のスピリットを植えつけられる。操られて悪の闘士。

・輝二は、夢主を姉さんと呼べずにいる。
・ダスクモンは、理由がわからないが夢主を激しく憎んでいる。ついにアニメ本編20話でスピリットを奪い、夢主はデジモンから人間に戻る。ほぼ瀕死。


普通にシリーズ物で高校生位になってからの話を書いてもいいかもしれない。
善悪と雨は平行世界の話なので、どこかの世界では夢主二人ともがDWに行っているかもしれない……。
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