善悪/DWに行く直前の話
 夢見の悪さに目が覚めた。
 想は身体を起き上がらせ、携帯で時間を確認する。夜中の三時過ぎ。まだまだ寝ていなければいけない時間だ。
 想は、ぼふっと布団をかぶり直す。頭まですっぽり布団にくるまり、そして乱れた呼吸を整えようと息を吸ったり吐いたりした。

(忘れなきゃ、忘れなきゃ……)

 想が夢の中で見たものは、血まみれのかつての友人の姿だった。
 彼女を追い詰めたのは自分だ。自分が、あの子を突き落とした。
 そして、わたしは彼女から逃げた。だから、わたしは弱い。大好きだったあの二人、とはもう二度と会えないだろう。
 兄のように慕っていた彼の本には、何が書かれていたのか。彼女はわたしを赦すことはないのだろう。
 そんなことばかりが、想の頭の中を駆け巡る。赦しちゃいけない、誰を? わたしを。

 両親に相談でもすれば、少しは変わったのかもしれない。しかし想は、胸の内を語ることもできなかった。好きな人には嫌われたくない、と思う想の心が、両親に真実を話すことを拒んだ。

 ――だから、わたしはこのまま、逃げ続ける。
 それが、わたしの運命だから。




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旅立つ日前夜みたいな謎作文(´・_・`)
病弱ってところにコンプレックスがあるので閉じこもりがちな子。
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