死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ。
渡さないよ?
絶対に誰にも渡さない。
誰があげるなんて言った?
私以外の奴のとこいくなんて、許してあげない。
明かりが綺麗な白い肌をうつす。
あんたは本当に昔から妬ましい奴よね、私なんかより綺麗な肌、髪、顔全部手に入れちゃってさ。
ほら見て、こんな綺麗な朱、私には出せないわよ。
「…見て兵助、あんたは血も綺麗なのね…」
「っ…名前……」
「…なぁに?全部兵助が悪いんだよ。あんな女と結婚するなんてさ…」
血に濡れた手で兵助の顎を持ち上げれば、また肌の白で赤が映えること映えること。ぐっと頬の方まで赤で線を引いたら、兵助は目を閉じた。
ムカつくほど綺麗な兵助だけど、私を愛してくれたから大好きだった。
私だけ、名前だけ好きだよって言ってくれてたから毎日楽しかった。
私も誰にでも優しい兵助が大好きだったし、絶対にいつまでも一緒にいたいと思える自信があったの。
なのに!
なのに、なのに!!!
「ーーっ!!!!」
「っうるさいわねぇ!あんたは後回しよ、ちゃーんと売り飛ばしてあげるから黙ってなさい!」
部屋の角に手足と口を封じられたこれまた可愛らしい女が転がっている。今の一言で明らかに目に恐怖の色が転がった。
もちろん、こいつが兵助の嫁になった女。
兵助が私の腕に触れたと思うと、繋がっていない声で言った。
「名前…彼女は、関係…ない…」
「あるわよ!!
…兵助までそんなこと言うんだね、やっぱりあの女がいいの…?」
「違う、名前、私は…」
「聞きたくない!!!
……兵助、幸せにしてくれるって、言ったのに…」
私の頬を流れるのは、血か涙か。
もう一度、私は苦無を振り上げた。