青年はそれはそれは優秀な成績で忍術学園を卒業しました。
真面目で、努力家の彼なら当たり前だと誰もが頷きました。彼自身もそれを喜び、友人も教員も彼を褒め、共に笑いました。

また、忍術学園の成績は、そのまま彼の就職先へも結び付きました。
他の卒業生よりも沢山の選択肢が与えられ、彼は自由に勤める城を決めることが出来たのです。


彼が行きたいと考える城は、今いる忍術学園から多少離れた北の地にありました。そこは位置、置かれている戦況、また主と忍の関係までも良好で、待遇もよいと風の噂で聞いていました。また、その城の主から一筆が届いていたのです。願ってもみないほど、最高の条件でした。教員や仲間からは羨望の言葉を投げられ、学園としても名誉なほどだったのです。
しかし、最後の最後まで彼は迷っていました。



彼には、命よりも大切に想う女性がいました。彼女もくの一、忍術学園より西の城の中で働くことが決まっていました。

自分が望む城に入れば、彼女とはこうして会えなくなる。月に一度会えるか、年一度か。二人とも忍となるのだから命もどうなるかわからない。
彼女と結婚し、一緒になる道も考えたが彼女はすぐに家には入りたくないだろう。きっとくの一として働きたいと思っているはずだ。その中にはきっと色を使った任務もある。彼女も真面目であるから、一緒になってくれるとは思えない。

そんな不安を消し去れるのかと彼は彼女には内緒で一人悩み続けていたのです。
それほど、彼は彼女を愛していました。


そして皆が学園を離れる日、彼は彼女に言いました。


「君が、私と一緒になってくれる覚悟が出来たなら文を送ってほしい。
…いつまでも君を愛している。」


お互いに忍に専念するためには最善の選択だったでしょう。彼女も涙を流しながら納得しました。
いつかまた道が重なり、求めあうその日まで二人は道を分かつことにしたのでした。




それから、青年は北にある城に移り住みました。
主も、忍頭も大変良い人で青年は充実した日々を送っていました。
青年はその真面目さ、勤勉さ、持ち前の人の良さから大変回りに好かれ、地位をどんどん上げていきました。
ゆくゆくは次期忍頭になるだろうと言われ、主や仲間からも実力を認められたのです。
毎日毎日任務や鍛練に打ち込み、帰って仲間達と酒を交わす。それは彼にとって幸せだと感じる日々でした。

しかし、その月日はあっという間に終わってしまいました。





彼は、その時思い出しました。
今まですっかり忘れていた、彼女を。











モノクロメモリー









(ハッピーエンドと、誰もが願っていたのに)


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -