「お前、先に逃げろ!!!」




スパーダが余りにも真剣に言うものだから、思わず頷いて狭い路地に入った。


私も戦えば良かった、と後悔したけれど時既に遅し。
何がなんだかわからないまま路地を走り回って、ふと通りに出たら



「さあ…おとなしく連行されてもらおうか。」


「うそ…」



私は囲まれていて、素直に奴らに捕まるしかなかった。










連れて来られたのはよく分からない施設。一体何、と尋ねてもいまいち理解できる答えは返ってこなかった。とりあえずは私は異能者で、法によって捕まったらしい。多少身体能力が高くて、魔法みたいの使えたけれどまさか捕まるなんて。




「痛いってば!!引っ張らないでよ!」


「黙れ、異能者!ほら、さっさとここに入ってろ!」



私の人生に牢屋なんて入る予定なかったはずなのに、気付いたらもう私はそこにぶちこまれていた。




「…大丈夫?」


「あ…あなたも捕まった人?」



赤い和服を着た女の子が私に駆け寄って来て、心配そうに私を覗きこんだ。この子も、異能者。



「ええ、アシハラから来たの。チトセよ。
あなたは?」


「私は、レグヌムから。
…そうだ、スパーダは!?」



辺りを見回すが私達以外に人影は無い。連れて来られていないようだ。
ということは捕まっていない、逃げ切れたということだろうか。


「スパーダ?…お友達?」


「うん…あいつも異能者だと思うから。捕まってないんだよね?大丈夫、だったかな…」



スパーダだって身体能力は優れていた。私が異能者なら彼も異能者のはず。
良かった、スパーダは逃げたのね。せっかく私のこと先に逃がしてくれたのに私だけ捕まったなんて知れたら馬鹿にされそうだ。
さぁ、とりあえずは逃げる方法考えなくちゃ。




「ねぇ、チトセさんここって」

「っ離せってんだよ、この馬鹿!!!」



響く怒声、私はチトセさんと顔を見合わせた。私が苦笑いするとチトセさんはくすくすと口に手を当てて笑った。




「来ちゃったみたいね。」


「うん…そう、みたい。」





なんか、安心した。



スパーダサイド


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