あいつを逃がしたはいいが、情けないことに俺はなんだか変な奴に連行されていた。
聞けば異能者狩りだという。
一体なんなんだよ。確かに俺は人一倍強ぇし、変な夢も見たりする。だからってこんなとこに連れて来られる筋合いはねぇ。
「おい、いい加減放せよ。」
「黙っていろ、まもなく着く。」
暴れたせいで変な手錠みたいのをつけられて、自由なのは足だけ。…これじゃ流石に逃げられねぇか。
それにしてもあいつはちゃんと逃げたんだろうな?あいつを追った奴らも何人かいたみたいだったけどまぁ逃げられねぇような人数じゃねぇ。どうにかなってんだろ。…まぁ俺は捕まったけどな。
これからあんな奴らがウロウロしてんじゃ町うろつけねぇな、俺もあいつも。
こりゃ王都離れるいい機会か?いつかは出て行こうと思ってたし丁度いいかもな。
俺を引っ張ってる奴に似た奴が少し向こうに見えた。
「あれ…牢屋じゃねぇかよ!」
「当たり前だ、お前らは異能者だぞ。」
「っ」
考えるより先に足が出ていた。前を歩く奴に蹴りを食らわして、捕まれてた腕がほどける。
牢に入れられたんじゃマジで逃げれねぇ、なんとか阻止だ!
なんて思ってはいたが、後ろにいた奴らに取り抑えられる。
「っ離せってんだよ、この馬鹿!!!」
「馬鹿はお前だ、暴れるな!!」
一発頭を殴られて一瞬意識が揺らぐ、無理矢理に拘束されて牢屋に向かわれた。あー、くそ、どうすんだっての。
「スパーダ!!」
「は……お前…!?」
見慣れた顔が視界に入る、…こいつも捕まってやがる。
檻越しに目があって、俺は自分達に呆れて笑っていた。
「…無事でなによりだっての。」
交錯した、二人
(お前のために、帰んなきゃって)
(貴方のために、帰りたいって)