もうこの世界ともお別れ。
また戻ってくるのは、八十年くらい後だろうか。いや、きっと世界は変わってしまっているだろうから、二百年くらい寿命があるかもしれない。
もしかしたらもっと、戻って来られないかもしれない。


もう一度貴方に会える時が、貴方との長い別れの時なんて、ロマンチックにもほどがあるわね。


「君は今からまた地上に戻る。気分はどうだい?」


「…ええ、悪くないわ」


ベッドの上以外で貴方に会うのは初めてかしら。閻魔大王のくせに無駄に見た目はいいから、ここで恋に落ちる子もいるんじゃないかしら。だって、私がそうだったものね。


「閻魔」


名を呼ぶと閻魔はピクリと眉を動かした。そうだろう、閻魔だなんて呼ぶ人、きっと彼女しかいないのだから。

気が遠くなるような時間が経ったけれど、貴方は何も変わっていないわね。
まだ、あの子を愛しているんでしょう?知っているわ、私だって同じ。だから、最後に一つだけ。


「…愛してるわ」


閻魔が私に手を伸ばして、消えるときを知る。
最後に閻魔は笑って、


「私も愛しているよ」


その言葉が、彼が訳もわからずに放ったものなのか、それとも意味があったのかは、わからないけれど。


「君のこれからの人生が、幸せなものでありますように」




愛転生



(地上では、私を誰かが愛してくれるかしら)




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