2011/11/11 18:16
外からは何の音もしなくて、さっきまで笑って見ていたテレビだけが馬鹿みたいについている。
でも私にも、鬼男にもそれは聞こえていなくて、私の頭の中は目の前にいる鬼男のことでいっぱいだ。きっと鬼男もそんな感じ、だと嬉しい。
「…キスして、いい?」
「…うん」
鬼男と付き合って三ヶ月。
デートに行っても、家に行っても、手を繋ぐ以上に発展しなかった私達。出会って1日で大人の階段を登りきってしまうカップルもいる中、とても清いお付き合いをしてきた。友達には他に女がいるんだとか、きっとホモなんだとか散々言われたけれど、ようやくこの瞬間が来た。
頷いた私に、目に見えて鬼男がほっとしたのがわかる。うれしそうにも見えた。
鬼男の大きい手が私の頬に触れて、ゆっくり瞳を閉じた。
ようやく。ようやく、私たち……!!
「……もしかして俺すっごい良いところで登場しちゃった…?」
「もういいですから、黙ってください、閻魔先輩。」
--
鬼男くんてこんなん。