「ひまわり畑が見たい。」

急にそんなことをなまえが言い出した。それまで違う話をしていたというのに話が変わっていくというのはなまえにとってはあまりにも普通のことで。付き合い始めの頃はそんななまえとの会話にちょっと悩んでいたこともある。…今ではもう慣れてしまったけれど。

「ね、堀田くん。行こうよ。ひまわり見にさ。」

「…どこで見れるのか知ってるのか?」

「知らないけど見たいの!ひまわり!」

ねぇ堀田くん行こう私ひまわり見たい!
そう言いながら俺の腕を取りぶんぶんと音が鳴るんじゃないかというくらいなまえは揺らす。行こうよー行こうよーと駄々をこねるようになまえは何度も俺の名前を呼ぶ。(そんな子供っぽい仕草も可愛いと思うなんて我ながら重症だな…)

「何で急にひまわりなんだ?」

確かに今の季節柄だと見頃かもしれないが、去年の今頃にひまわりが見たいなんて騒いだりしなかったというのに。

「あのねー、昨日ね、テレビ見てたらきれいなひまわり畑が映っててね。そのひまわりが堀田くんみたいだなぁって思ったの!」

だからひまわりに囲まれたら、私の周り堀田くんだらけになるかなって

そう言ってなまえは笑う。はにかむように笑うなまえを俺は衝動的に抱き締める。

「何?どうしたの堀田くん」

「…別に、何でもない。」

「?変な堀田くん。」

そう言いながら俺の方に寄りかかってくるなまえ。…そのひまわりに嫉妬したなんてなまえには言えないな、なんて。少し抱き締める力を強くして、目を閉じる。

「今日は甘えん坊だね堀田くん。」

「…たまにはいいだろ。」

「うん、そうだね。」

ひまわり畑はまた今度行こうね、となまえが笑う。そうだな、と軽く返事をしながら今度のオフに行けそうな場所を探してみるのもいいかもしれないとぼんやりと思った。



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堀田くんの頭ってひまわりっぽくね?っていう話
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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