ぬるり、と首筋に温かいものが這う。なまえの吐息が触れる。熱い。俺の意思などをお構いなしになまえは俺の首筋を舐め上げた。舌で舐めてはリップ音を立ててキスをしてくる。それを何度も繰り返す。飽きてこないのだろうか、と思いつつなまえの好きなようにさせた。
最初は首中心だったのが少しずつ下の方へと降りて来て、今は鎖骨近辺になまえの顔がある。俺の鎖骨を触っては恍惚とした表情を浮かべる。

「なあ、楽しいか?」

「うん、すっごく」

私、ハンゾウくんの鎖骨とかすごく好き。そう言って彼女はつぅっと俺の首筋をなでる。くすぐってぇな、と笑うとなまえも笑う。そしてまた顔を近づけてふぅっと息を吐く。背中に電流が走るかのような何かが走った。ぞくり、とする。なまえの髪からふわりと甘い香りが鼻腔をくすぐった。あぁ、どんどんと自分の理性が削られていくのが分かる。そんな俺の葛藤を知ってか知らずかなまえは猫のようにじゃれついて、ペロリと鎖骨を舐めてくる。肌に触れようとする赤い舌がちらりと視界の隅に見えた。
なまえの頭を撫でると、指の隙間からするりと髪が流れた。そうすると気持ちよさそうになまえは俺に擦り寄ってくる。本物の猫のようだ。気まぐれで近づいてきてはじゃれついて、俺を翻弄する。もう、我慢の限界だった。
ガッとなまえの腕をつかみ、ソファーへと押し倒す。なまえは驚いたように目をぱちぱちとさせて俺を見つめる。なまえの目に映る俺は欲情に身を任せているかのように、ギラギラとしているのが見えた。「ハンゾウくん?」となまえが俺に声をかけた。その声と、表情にすら俺の熱はさらに高まる。

「なまえ…」

耳元でそう囁くとなまえの吐息も段々と熱を帯びてきたのが分かった。火照った頬と、潤んだ目。ごくり、と喉が鳴る。

「お前が、悪ぃんだからな」

「あっ、」

さっきまでの仕返しだ、となまえの首筋へとキスを落とす。なまえの白い肌にくっきりと赤い印がついた。俺のものだ、と言わんばかりに主張するそれは、俺の独占欲やら征服欲やら、黒い感情をふつふつと湧きあがらせる。もっと、もっと、なまえが欲しい。なまえの全てを俺だけにしたい。
彼女の目から一筋、水滴がこぼれる。頬を伝うそれを舌でなめとった。甘い。甘すぎて胸やけしそうだ。

「ハン、ゾウくん…っ」

上ずった声で俺の名前をなまえが呼ぶ。どこかへ飛びかけていた理性が戻ってきた気がした。少し顔を上げて、改めてなまえと見つめ合う。とろん、と溶けた目で俺を見つめるなまえ。その扇情的な表情にまた俺の体が熱を持つ。そして彼女が発した言葉で、俺の理性は完全に吹きとんだ。

「もっと、して?」

噛みつくようになまえへ口づける。喰らうように、舌を絡める。息苦しそうな、けれどどこか嬉しそうな表情のなまえが、俺の下に居た。やっぱり嫌だ、とか言ってももう無駄だぞ。

悪ぃななまえ。もう、止らんねぇ。
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