オレの彼女は可愛い。彼氏の欲目を抜いたとしても、可愛いことに変わりはないだろう。
つまり、なまえはモテるのだ。ものすごく。


「なまえ、ちょっといいかな?」

「うん、何か用かな?」


ほら、今もクラスの男に話しかけられている。話している内容までは聞こえないけど、相手が下心満載なのは見ていればわかる。鼻の下伸ばしやがって…。くそ、イライラする。


「土門くんどうしたのー?具合でも悪い?」


机に突っ伏してなまえの方を見ていたら、クラスの女子にそんなことを言われた。何でもないよ、だいじょーぶ。と軽く笑えば、それならいいけどさ。とその子は自分の席へ帰っていく。(まあすぐ近くなんだけどさ)無理しちゃだめだよとのだめ押し付きで。

はぁ、とオレはため息をつく。なまえはまださっきの男と話をしているようだ。楽しそうにに笑って。

(なまえはオレの彼女なのに。)

なまえに悪気がないのは分かってるけど、オレのイライラは収まらない。何でそんな奴に笑いかけるんだ。
…こんな気持ちで授業なんて受けてられねぇな、とオレは授業をサボることにした。


「土門くんどこ行くの?授業始まっちゃうよ。」

「んー、やっぱ保健室行こうかなって。」


立ち上がり教室を出て行こうとすると、さっきの女の子がオレに声をかける。先生によろしく、とその子に手を振ってオレは教室を出た。教室を出る前、なまえと少し目があった気がしたけどきっと気のせいだ。



「飛鳥っ!」

保健室ではなく、屋上でサボろうと廊下を歩いていたら声をかけられた。振り向かなくても分かる。なまえだ。


「…なまえ、授業はどうしたのさ?」

「それは飛鳥にも聞きたいな。保健室はこっちじゃないよ?」


オレの隣に並んで見上げてくるなまえ。具合悪いんじゃないの?と首を傾げる。そんななまえを見て、オレは衝動的になまえを抱きしめる。


「あ、飛鳥っ!?ここ…廊下だよっ!」

「…ごめん、ちょっと充電させて。」


オレの腕の中にいるなまえは、最初はちょっと抵抗してたけど大人しくしてくれた。どうかしたの?なんてオレの心配までしてくれる。


「…多分、嫉妬してた。なまえがオレ以外の男と話してて、すげぇイライラして。」


カッコ悪いな、オレ。と苦笑する。なまえはそんなことないよ。と笑った。


「私もね、嫉妬してたんだよ?」


は…?と声がこぼれた。なまえが嫉妬?なまえはオレの手を取って屋上の方へ歩き出す。


「飛鳥、女の子にいっつも優しくてモテるもん。さっきもあの子に笑ったりしてたの見て、何かモヤモヤしてたんだよ?私も。」


お互いに顔を見合わせる。そしてふたりで笑った。


「お互い様、だね?」

「そうだな。」


さっきまでのイライラはもうなくなっていた。なまえが隣に居てくれる。それだけでいいのかもしれない。でもやっぱりオレ以外の男とはあんまり話はして欲しくないなんて、独占欲はなくならないもんだな。




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私も飛鳥成分充電したいな、となまえが笑う。じゃあとりあえずふたりで屋上行きますか、となまえの手を取ってオレたちは授業をエスケープした。
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