「リア充爆発しろ。」

「…なに言ってんのアンタ?」


独り言のつもりで呟いた言葉が、うっかりレアンに聞かれてしまった。こいつ頭おかしいんじゃないの?みたいな表情で俺を見るレアン。ちくしょうレアンに何が分かる!


「この時期はな!モテない男には血の涙だって流せるくらい辛い時期なんだぞ!周りを見渡せばカップルしか居ない!そんな仲一人寂しく歩く精神的苦痛!義理だって生まれてから一度ももらったことの無い俺にはバレンタインなんて関係ないんだよちくしょう!」


ほぼ一息で今の言葉を叫んだら酸素が足りなくなった。はぁはぁと肩で息をしながら、自分がむなしくなってきた。つか何で俺レアンにこんなこと言ってんだ。まるでチョコ下さいアピールしてるみたいじゃないか。
レアンは驚いたような表情で俺を見ている。…あれ?てっきりアンタやっぱりモテないのね。ダサッ!とか言われるもんだと思ってたんだが(まぁ言われたら言われたで大ダメージなんだが)


「…本当に一個ももらったことないの?義理も?」

「…あーそうですよどうせ俺はモテない冴えないどーでもいい男なんで。」


馬鹿にするような感じでもなく、ただ純粋な疑問でレアンに問いかけられた。これもある意味精神的ダメージでかいな…。
はぁ、とため息を吐く。どうせ一人むなしいバレンタインなんだから大人しく部屋にでもこもってるか。そう思って俺は立ち上がる。
じゃあ、とレアンに声をかけようとレアンの方を振り向く。何故かレアンは顔を赤くしていた。後ろに何か持っているようにも見える。

「…なにしてんのレアン?何か持ってる?」

「べっ、別に何でもないわよ!アンタが気にすることじゃないもの!」

「そりゃそうか。レアンもバーン様に早くチョコ渡してくれば?」


レアン、バーン様が好きなんだろ?と軽口を叩いてみる。すると急に顔を強ばらせ、たと思ったら怒ったような表情になる。そして持っていた、と思われるものを俺に投げつけてきた。


「どーせアンタ誰からも貰えないんでしょ!?ついでだからあまりものアンタにあげるわよ!」


ありがたく思いなさいよ馬鹿っ!そう叫んでレアンは走っていった(おー、流石に足速いなぁ)
そして手元に残った、先ほどレアンから投げつけられた箱。可愛らしいラッピングがされている。もしかして…チョコ、なのか?言動からして義理だろうけど、初めて女の子からチョコを貰ったことに俺は嬉しくなる。あぁ、レアン様々だ!




鈍感少年とバレンタイン




後々、バーン様やサトスに聞いてみたところ、レアンからはチョコなんて貰ってないと言っていた。レアンから貰ったのお前だけだろ?とニヤニヤしながらバーン様が仰るのがよく理解出来なかった。
俺が貰ったのが本命…?なんて、そんなことあるわけないよなぁ。とりあえずホワイトデーにはちゃんとお返ししないとな。

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