(!行為はありませんが裏的表現あります。苦手な方ご注意)



深夜だろうが早朝だろうが、研崎の都合のいい時間に私はホテルに呼び出される。そして研崎の気の済むまま体を差し出すのだ。
きっと研崎には都合のいい女…いや、性欲処理の道具くらいにしか思われてないだろう。それでも、こんな関係でも続けたいと、研崎との繋がりをもっていたいと思ってしまう。


(恋愛は惚れた方の負けっていうけど、)


服も着ないでホテルのベッドに寝そべったままの私は倦怠感を身に纏いながらぼんやりと宙を見る。研崎はもう帰ってしまっただろう。行為のあと、私の記憶は途切れてしまっている。
…いつまでこんな関係が続くんだろうか。最初は研崎に抱かれるだけで満足だったし、嬉しかった。その行為に愛が無くとも、研崎が感じられるだけで良かった。
研崎の愛が欲しいなんて、考えるだけ無駄だと分かっているのに。心の片隅で切望してしまう。


(重症ね、私)



気分転換でもしようと、枕元の煙草に手を伸ばす。火をつけようとライターを探すが近くには見当たらない。ベッドの脇にでも落としたのだろうか。気だるい体に鞭を打ち、私は起き上がる。
ふと、テーブルの方に目をやるとこの部屋に来たときにはなかったはずのものが何かのっている。その物体が気になった私はのろのろと体を動かして、テーブルへ向かう。そこにあったもののは、


「薔薇…の花束…?」


こんなもの、記憶にない。この部屋でこんな大きな花束なんて、一度見たら忘れるはずなんてないのに。訝しげに薔薇の花束を見つめていると、小さなカードを一枚発見した。そのカードに書かれていたのは私宛と思われる、私の名前と


「happy birthday…Ryuichi Kenzaki…」


まさか、研崎が私の誕生日を覚えているなんて。目を疑い、何度もカードを見返してみるけれど書いてある内容に変わりはなく。
嬉しさとか、驚きとか、色々な感情が湧き上がる。あぁ、まさかこんな年になってまで嬉し泣きをすることになるとは。テーブルに置かれていた花束を腕に抱き、私はまた涙を流す。




花言葉は愛してる




まさか、研崎がこんな気障っぽいことをするなんて思わなかったけれど。
…今度は、私の方から連絡してみようかな。…あなたに会いたいって。
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