「はるくんはるくん。あのね、」

「ごめんなまえ。今大事なところだから。」

「それ、さっきも聞きました…。」


はるくんはずっとパソコンの部品ばっかり見て私のことを見てくれません。むぅ、と私は頬を膨らまします。パソコンを自分で組み立てるのがはるくんの趣味だというのは知ってますが、一応彼女である私を全然構ってくれません。これは私に魅力が無いってことなんでしょうか…。


「どうしましょう萌君!私このままだとはるくんに嫌われてしまいますー!」

構ってくれないはるくんの元から去って私は萌君の所に行く。
いくら構ってくれなくても私ははるくんが大好きで。もし嫌われたら…別れようなんて言われたら…。

「いやですー!はるくんと別れたくなんてないですー!」

「ちょっと落ち着きなよなまえ。」

「うわぁん萌君ー!」

何だかもう涙が止まらなくなった私は勢い良く萌君に抱きつく。萌君はよしよし、と頭を撫でてくれた。少しだけ気持ちも落ち着いてきました。

「自作派も馬鹿だねぇ。こんな可愛い彼女ほっとくなんてさ。」

「でも…はるくんは私のこと全然見てくれませんし…。やっぱり私に魅力なんてこれっぽっちも…。」

「ほらほらマイナス思考禁止。なまえは可愛いんだから少しくらい自信持ちなよ。」

「はるくん…どうしたら私のこと見てくれるようになるでしょうか…。」

少し気分が落ち着いたと言ってもやっぱりはるくんのことを考えると暗い気持ちになってしまいます。はるくん、何で私と付き合ってくれてるんでしょうか。

「萌氏ー。呼びましたかな?」

「あぁコスプレ。いきなり呼び出して悪かったな。」

「…装君?萌君が呼んだのですか?」


装君が萌君の所にやってきました。装君に用事があるなら私帰らないと!と思って立ち上がると萌君に腕を掴まれました。
何で?と萌君を見ると萌君はニヤリと笑いを浮かべて装君の方を向きました。

「なまえがさ、自作派を振り向かせたいんだってさ。」

「おや、なまえ氏は自作派氏とはお付き合いなさってるのでは?」

「まあ、そこは色々ありまして…。」

装君にポツポツと今までの経緯を私は話しました。話を聞いてくれた装君は、それは自作派氏がいけませんな!とプンプン怒ってくれました。

「私に出来ることなら何でも手伝いますぞ!なまえ氏、萌氏!」

「あ、ありがとう装君!」

「じゃあコスプレ。早速だが…。」


そうして2人の助けを借りて私はまたはるくんの所へ、勇気を出して行きました。はるくんはまだパソコンとにらめっこしているようで、少し気持ちが滅入ります。

『なまえ氏、似合ってますぞ!』

『本当にな。これなら自作派もなまえにメロメロだろ。』

装君や萌君が、大丈夫と太鼓判を押してくれたのですから。

「は、はるくんっ!」

「なまえ、どうし…た…んだ?その…格好…。」

私の方を見てくれたはるくんはビックリしたような顔で私を見ます。

「あ、あのっ。はるくんが、パソコンばっかりいじってて…私のことあんまり見てくれないから、」

スカートの裾を掴んで涙をこらえながら私はポツポツと話します。はるくんは立ち上がって私をギュッと抱きしめてくれました。

「は、はるくんっ?」

「ごめんななまえ。ずっとほったらかしで。」

耳元で大好きなはるくんの声がして、私は顔が赤くなる感じがしました。でも凄く嬉しくて、ギュッとはるくんの背中に手を回します。


「あのさ…何でなまえ…メイド服着てるんだ?」

「萌君と装君に相談したら、はるくんを振り向かせるならこの格好が一番だって、言ってたので!」

「漫画家…コスプレ…何でそこをチョイスしたんだよ…。」

頭を抱えるはるくんを見て、私は似合いませんでしたか?とくるっと一回転します。ひらひらのロングスカートが綺麗に円を描いて凄く可愛いと思います。

「なまえが着れば何でも可愛いよ。」

そう言ってはるくんはまた私を抱きしめてくれました。萌君たちに相談して良かった、と本当に思います。




Look at me!




その後、はるくんを御主人様と呼んでみたら絶対他の奴らの前でこの格好するなよ!と言われてしまいました。
…やっぱり似合ってないのでしょうか、メイド服…。

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