有人が自分の部屋のソファで眠っている。きっとサッカーの練習とか、いろいろなことに疲れているんだろう。 ゴーグルも外さないで眠ってしまっているなんて、有人らしいというかなんというか。 「せっかく彼女が来てるっていうのにかまってくれないんだね。」 少しだけ、さみしい。けど有人はいろんなものを背負って頑張ってるんだから。 ソファの前にしゃがみこんで有人の顔を眺める。いつもより少し幼く見えるその顔。そのゴーグルの下の目は見えないけれど、きっと安らかに閉じられているのだろう。 お疲れ様、と有人の頭をなでる。有人が少し身じろいだが、まだ起きる気配は見えない。 そんな有人がとてもかわいくて、愛しくて。 ちゅ、と音をたてて有人のゴーグルにキスを落とす。一回、二回と。 それでもまだ有人は起きない。ゴーグルや、頬、鼻の先に何度もキスをする。 何度目か、分からないキスをゴーグルに落としたとき、急に何かに引き寄せられる。そして気がついたときには有人の上に私はいた。 有人が私を抱きよせたのだと理解するまで少し、時間がかかった。 「いつから起きてたの?」 「ついさっきだ。」 嘘、と言いそうになったけど、その言葉は飲み込んだ。 おはよう、有人。という意味も込めて私は有人のおでこにキスをする。 「ここにはしてくれないのか?」 そう言って有人が指をさしたのは唇。 なんだかさみしそうな顔をしている有人。そんな有人に少し笑いが込み上げてくる。 「これはずしてくれたらしてもいいよ。」 そう言って、またゴーグルに音をたててキスを落とす。 smooooch! ゴーグルを外した有人と目を合わせ、二人でほほ笑む。 そして一番の愛情をこめてキスをするのだ。 |