「私さぁ…半田の声凄い好きなんだよね。」


窓の外をボケッと眺めながらみょうじは急にそんなことを言い出した。俺は何だよそれ、とみょうじに言葉を返す。
みょうじはまだ外の景色を眺めている。端から見たら俺たちが会話をしているなんて思わないんじゃないだろうか。

「声のトーンって言うの?高さとか、発音の仕方とか、凄く私好みなんだよ。」

そりゃどうも、と軽く流す。声が好きだとか言われてもよくわからない。そんな事を言われたのは初めてだ。

「ね、ちょっと私の名前呼んでみてよ。」

「は?何で。」

「いいから、ホラ。」


俺の方を見てニコッと笑うみょうじ(その顔は反則だと思う…可愛いすぎだろ)
みょうじ、と呼んでみた。するとみょうじは違う!と大きな声を出す。

「下の名前で呼んでよ!」

はぁ!?と俺は声を上げてしまった。何でそんな所にこだわるのかがよくわからない。みょうじはホラ早く!と急かしてくる。
さっきから何だか言われっぱなして少し悔しい気がして、俺はあるアクションを起こした。立ち上がってみょうじの後ろに立つ。そしてみょうじの顔…実際は耳元に俺は顔を近づけた。自分が出せるであろう、一番良い声で。


「なまえ…。」


そう囁いた。
これで満足かよ?とみょうじの顔を覗き込むとみょうじは顔を真っ赤にして

「は、反則でしょ…それは…」

と、呟いていた。





voice




俺的にはみょうじのその顔も反則だと思うんだけどな…。

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