ふとカレンダーを見ると、数日後に丸が書かれていた。特に用事がある訳ではない筈だが…と考えていると、ひとつ思い出すことがあった。


(そういや、あいつの誕生日か)


幼なじみと言う名の、腐れ縁に近いなまえの顔を思い出す。家も隣で幼稚舎から今までずっと一緒だったなまえ。毎年誕生日が近くなってくると誕生日プレゼントを寄越せ!と言ってくるものだから嫌でも習慣が身についてしまったのだろうか。…変な習慣だ、と俺はため息をつく。


「渡ー、居る?」


ガチャ、とドアの開く音がする。ノックもせずに俺の部屋に入ってきたのはなまえだった。


「勝手に入ってくんな。せめてノックくらいしろよ。」

「別にいいじゃん。私と渡の仲じゃないか。」


そう言ってドカドカと俺の部屋に入ってくる。こいつには何を言っても無駄か、と俺はため息をつく。何の用だと声を掛けると英語のノート貸してーと気の抜けた声が返ってきた。(勝手に本棚物色してんじゃねぇよこの野郎)


「お前少しは自分で勉強しろ。」

「だって渡のクラスの方が授業進んでるし。訳写すだけだから別にいいじゃん。」


ほら、と英語のノートをなまえに渡す。(結局俺はこいつに甘いんだ)
どうもー、と笑ってノートを受け取ったなまえにさっさと帰れとジェスチャーをする。渡のくせに生意気だ!となまえは俺の頭を叩いてくる。地味に痛い。


「ねぇ渡。カレンダーのあれ…」


なまえがカレンダーを見てこっちを見る。俺はあー、と声を上げて頭をかく。


「お前、そろそろ誕生日だろ?何か欲しいもんあるか?」

「え、何?プレゼントくれるの?」

「毎年毎年催促してくるのはそっちだろうが!」


どうしよっかなーと楽しそうな声を出すなまえ。高ぇもんは止めろよ、無理だからな。と念を押す。じゃあ、となまえが言った。


「私、渡のこと好きだからそれの答えちょーだい。」


は?と思わずなまえに聞き返してしまった。だがなまえはじゃあ誕生日楽しみにしてるね、と言って帰ってしまう。
おいちょっと待て、英語のノート忘れていってんじゃねーか。何のために俺のとこ来たんだよお前。




プレゼントは君




あいつが出て行ったドアを見ながら、多分赤くなっているであろう顔に手を当てる。心臓もバクバクいってる。
…俺、もしかしてなまえのこと好きなのか…?


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