「へんみーへんみー、こっちむいてー」

「あー、なんか用かよなまえ…ぬぉおぉぉ!」



ある日の帝国学園。サッカー部の辺見くんは彼女のなまえちゃんに呼ばれてなまえちゃんの方を向きました。
するとどうでしょう!振り向いた瞬間辺見くんのおでこに向かってハリセンが凄い勢いで襲ってくるではありませんか!
いくらサッカー部で運動神経がいいとはいえ、あまりにも急な攻撃に辺見くんはよけることができませんでした。
ばしーん!とハリセンはいい音をならします。ハリセン攻撃を仕掛けた犯人、なまえちゃんはやったーとひとり大喜びです。



「ってぇ…。いきなり何すんだお前は!」



辺見くんは赤くなったおでこをさすりながらなまえちゃんに怒ります。それはそうでしょう。いきなりハリセンでぶたれて怒らない人などそうそういません。
しかしなまえちゃんは悪びれることなく、にこにことハリセンを持ちながらこう言いました。



「だって叩きたくなったんだもん。」

「はぁあ!?」



予想外の回答に辺見くんは驚きました。
しかしなまえちゃんはそんな返答など気にすることなくハリセンを振りかぶり、もう一度辺見くんのおでこ目掛けてハリセンで攻撃します。
さすがに今度の攻撃はギリギリで辺見くんはよけました。もうなんだかイライラしているというかそろそろ逆切れしそうな感じです。


「チッ、今度はよけられたか。」

「チッって何だチッって!つかなんで叩く!」

「そこに辺見のおでこがあるから!」



堂々と、まさにそれ以外の答えなんてないといわんばかりのなまえちゃん。
あまりの理不尽な答えに、ついに辺見くんの堪忍袋の緒が切れました!もともと我慢弱い辺見くんですから、よくここまでもったと言ってもいいでしょう。
ゴゴゴ、と効果音が聞こえそうな形相で辺見くんは叫びました。



「なまえてめぇ!!一発殴らせろ!」

「きゃー辺見が怒ったー。」



辺見くんとなまえちゃんの鬼ごっこがはじまりました。なまえちゃんはとても楽しそうに、辺見くんは怒り心頭といった感じです。
そんな二人の様子を遠くから見ていた鬼道さんが一言こぼしました。


「あいつら…本当に付き合ってるのか?」

「わかってませんねぇ鬼道さん。」





これも一つの愛情表現です





「ほら、なまえ捕まったけど楽しそうですし。」



佐久間くんの答えに鬼道さんはよくわからない二人だな…としみじみ感じたそうです。
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